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中村 正和

禁煙の効果

長年タバコを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。また禁煙は病気の有無を問わず健康改善効果が期待できるので、病気を持った方が禁煙することも大切です。つまり病気の予防だけでなく一病息災においてもまず取り組むべき課題です。

禁煙補助薬バレニクリンの使い方

つらいと思われがちな禁煙を手助けしてくれる飲み薬のバレニクリンの正しい使い方を紹介します。

禁煙のおくすりってどんなもの?

つらいと思われがちの禁煙も禁煙補助薬を用いることで、禁煙後の離脱症状が緩和され、禁煙を比較的楽に確実にすることが可能です。日本では健康保険による禁煙治療において、貼り薬のニコチンパッチと飲み薬のバレニクリンが使えます。また一般医療用医薬品としてニコチンガムとニコチンパッチが薬局・薬店にて市販されています。

たばことストレス

喫煙者が喫煙のメリットとして感じるストレス軽減効果は、あくまでニコチン切れによる離脱症状の緩和にすぎず、むしろ禁煙によって離脱症状から解放され、ストレスが低下して精神的健康度も改善することがわかっています。禁煙中のストレスを緩和するためには、禁煙補助薬を使うことのほか、ストレスマネジメントの方法を学んで実践することが大切です。

PM2.5と受動喫煙

PM2.5とは、大気中に浮遊する粒の大きさが2.5µm以下の微小粒子状物質のことを指します。たばこの煙も典型的なPM2.5です。PM2.5は非常に小さな粒子であるため肺の奥深くまで入り込みやすく、肺をはじめ全身の炎症を引き起こし、呼吸器・循環器疾患による死亡率が上昇します。
日本では大気の汚染は改善されつつありますが、屋内の喫煙規制が国際的に遅れているため、たばこ煙による屋内の空気汚染が問題となっています。屋内の空気汚染を改善するために、職場や公共空間での喫煙規制の法的な強化が必要です。

たばこの煙と受動喫煙

たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」、喫煙者が吐き出した「呼出煙」、たばこから立ち上る「副流煙」があり、受動喫煙ではこれらが混ざった中古の煙を吸わされていることになります。煙に含まれる発がん性物質などの有害成分は、主流煙より副流煙に多く含まれるものがあり、マナーという考え方だけでは解決できない健康問題です。

わが国のたばこ規制・対策の現状

日本において2000年からの健康日本21《第1次》以降に実施された主なたばこ規制・対策には、2003年の受動喫煙の防止に関わる健康増進法の施行、2006年の禁煙治療に対する保険適用、2010年の国民の健康を守る観点からのたばこ税・価格の引き上げ(1箱110円程度の値上げ)、2010年の神奈川県受動喫煙防止条例の施行、2013年の兵庫県受動喫煙防止条例の施行があります。このようにたばこ規制・対策には一定の進展がみられますが、2005年に発効したWHO「たばこ規制枠組条約」において求められている内容と比較すると、まだ十分でない点が多く、今後のさらなる取り組みが必要です。

喫煙と糖尿病

たばこを吸うとは交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。そのため糖尿病にかかりやすくなります。また糖尿病にかかった人がたばこを吸い続けると、治療の妨げとなるほか、脳梗塞や心筋梗塞・糖尿病性腎症などの合併症のリスクが高まることがわかっています。

喫煙とがん

国際がん研究機関(IARC)の2012年の報告によると、喫煙との関連が確実ながんとして、口腔・鼻咽頭・副鼻腔・喉頭・肺・食道・胃・膵臓・大腸・肝臓・腎臓・尿管・膀胱・子宮頚部・卵巣・骨髄性白血病があげられています。また2004年の米国公衆衛生長官報告書でも、口腔・喉頭・肺・鼻腔/副鼻腔・中/下咽頭・食道・胃・肝臓・膵臓・子宮頸部・尿路・白血病(骨髄性)は喫煙との因果関係があると判定されています。
たばこの煙には60種類以上の発がん物質が含まれています。煙の通り道(くち・のど・肺)はもちろん、唾液などに溶けてとおる消化管(食道・胃)、血液中に移行して排出される経路(血液・肝臓・腎臓などの尿路)でもリスクが高くなることに注意が必要です。

若者の健康と喫煙

未成年者を含め若者の喫煙の問題点として、「1. 健康影響が大きい」「2. より高度なニコチン依存症に陥りやすい」「3. 喫煙以外の薬物依存の入り口となる」ことがあげられます。
若者の喫煙には、喫煙に関する知識や態度、自己イメージなどの心理的要因が関わるほか、保護者等の周囲の喫煙状況、学校での喫煙規制、たばこの価格、たばこ広告の規制など、若者をとりまく環境の影響が大きいことがわかっています。したがって喫煙防止のためには、地域や社会としての包括的な対策が必要です。

受動喫煙 – 他人の喫煙の影響

喫煙者が吸っている煙だけではなくタバコから立ち昇る煙や喫煙者が吐き出す煙にも、ニコチンやタールはもちろん多くの有害物質が含まれています。本人は喫煙しなくても身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうことを受動喫煙と言います。
国立がんセンターの研究によると受動喫煙による肺がんと虚血性心疾患によって年間6,800人が亡くなっていると報告されており健康影響は深刻です。最近の世界的な動きとして公共の場所や職場での禁煙化が法的な規制の下で進んでいますが、その効果として規制後まもなく急性心筋梗塞や喘息等の呼吸器系疾患による入院が減少したことが報告されています。

喫煙によるその他の健康影響

喫煙によって、病気による休業、手術の際の創傷部位の治癒の遅れや術後の呼吸器合併症の増加、骨粗鬆症や大腿部頚部骨折の増加、消化性潰瘍、歯周病、白内障や失明の原因となる加齢性黄斑変性を引き起こすもとにもなります。