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禁煙治療用アプリってどんなもの?

自宅での禁煙を強力にサポートしてくれる、デジタル機器を使った新しい治療「禁煙治療用アプリ及びCO チェッカー」について紹介します。

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禁煙治療用アプリ及びCOチェッカーとは

禁煙治療用アプリ及びCOチェッカーは、2020年12月から保険診療として禁煙外来で処方されるようになりました。喫煙者自身のスマートフォンにインストールして使用するアプリと、自分で吐く息の中の一酸化炭素濃度を測って喫煙状況をモニタリングできる器械を組み合わせた製品です。日々の生活において個々の人に合わせたアドバイスを届けることで、心理行動面から禁煙のサポートをしてくれます。

処方にあたっては、COチェッカーを用いる関係から、呼気一酸化炭素濃度が上昇するたばこを吸っていること(呼気一酸化炭素濃度が10ppm以上)が条件となります。
通常は禁煙開始のタイミングで処方され、24週目まで使用します。禁煙外来の標準的な治療プログラムは12週間ですが、その後も禁煙治療用アプリ及びCOチェッカーの使用を継続することで、外来での治療が終わったあとの再喫煙防止に効果があるとされています。

図. 禁煙治療用アプリとCOチェッカー

図. 禁煙治療用アプリとCOチェッカー

禁煙治療用アプリ及びCOチェッカーのメリット

これまでは医療機関でしかできなかった、呼気一酸化炭素濃度が自宅でも毎日確認することができるようになり、自分も外来の医師も禁煙できていることをしっかりと確認できるようになります。

アプリは、治療に必要なニコチン依存症に関する知識や、ストレス対策の具体的な行動などの役立つ知識と具体的な実践方法を、チャットや動画を通じて学べるようになっています。禁煙を続けるために続けた日々の行動や感じたことを日記としてすぐにスマートフォンに記録でき、それを禁煙外来の担当医師に見てもらうことができます。急にたばこが吸いたくなった時は、ボタンを押すことで、その場面に最適な対処法を提案してくれます。

このように禁煙治療用アプリは、孤独なたばことの戦いの日々の、強い味方になってくれるでしょう。この治療アプリ及びCOチェッカーの有効性については臨床試験が実施されており、禁煙成功率が高まることがわかっています。

なお、この治療方法は薬剤と異なり、目立った副作用は報告されていません。

(最終更新日:2021年11月10日)

谷口 千枝

谷口 千枝 たにぐち ちえ

愛知医科大学看護学部 成人看護学(療養生活支援) 准教授

2004年国立病院機構名古屋医療センター禁煙外来勤務、13年椙山女学園大学看護学部、18年愛知医科大学看護学部成人看護学(療養生活支援)講師を経て、2020年より現職。

中村 正和

中村 正和 なかむら まさかず

公益社団法人 地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター センター長

1980年自治医科大学卒業。労働衛生コンサルタント、日本公衆衛生学会認定専門家、厚生科学審議会専門委員。専門は予防医学、ヘルスプロモーション、公衆衛生学。研究テーマはたばこ対策とNCD(生活習慣病)対策。厚労科研研究班代表者(2007-21年度)として、たばこ政策研究に従事。研究成果をもとに禁煙治療の保険適用、たばこ価格政策、健康日本21における喫煙の数値目標の設定、特定健診における禁煙支援の強化等の政策実現に貢献。

参考文献

  1. 日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会.
    禁煙治療のための標準手順書(第8版).
    2021.
    http://j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/pdf/anti_smoke_std_rev8_.pdf