つらいと思われがちな禁煙を手助けしてくれる、飲み薬のバレニクリンの正しい使い方を紹介します。
*バレニクリンの一部のロットに不純物が混入したことが判明し、2021年6月から、バレニクリンの出荷停止が続いています。出荷再開までは、もう一つの医療用医薬品であるニコチンパッチを使って健康保険による禁煙治療を受けられます(「禁煙のおくすりってどんなもの?」参照)。禁煙外来にご確認、ご相談ください。
バレニクリンは、ニコチンガムやニコチンパッチと異なり、飲み薬であることが最大の特徴です。また、禁煙を開始する日を最初に設定し、その1週間前から服用を開始します。標準的な使用期間は12週間です。12週間の服用で禁煙できた場合、その禁煙をより確実にするため、健康保険は適用されませんが、必要に応じてさらに12週間延長して服用することもできます。
バレニクリンには0.5mg錠と1mg錠があり、第1週目(1~7日目)は0.5mg錠を服用し、その後11週間(2~12週目)は1mg錠を次に示すスケジュールで服用します【図】。飲み始めから2週間分の薬剤を入れたスタート用パックが用意されており、第1週目の用量の変更や禁煙のスタートを確実に行うことができます。
バレニクリンの主な副作用には、嘔気(吐き気)・頭痛・便秘・上腹部痛・異常な夢・不眠などがあります。これらの症状は軽度で一過性のことが多いです。嘔気を抑えるために、必ず食後にコップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用するようにします。多くの場合、嘔気は一時的で自然に消失しますが、続く場合には吐き気止めを服用したり、バレニクリンを1mg錠1日2回から半分の0.5mg錠1日2回への減量を検討します。ただし1mg錠1日2回投与のほうが0.5mg錠1日2回投与よりも禁煙成功率が高いことが報告されていますので、症状が消失した場合は医師と相談の上で1mg錠1日2回投与に戻すことも可能です。
なおバレニクリンを使用して、めまい・傾眠(けいみん)・意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例が報告されたため、服用中は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないこととされています。禁煙治療中も自動車の運転がどうしても必要な方は、ニコチンパッチによる禁煙治療を選択するなどの対応が必要です。
(最終更新日:2024年3月1日)