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禁煙補助薬バレニクリンの使い方

つらいと思われがちな禁煙を手助けしてくれる飲み薬のバレニクリンの正しい使い方を紹介します。

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バレニクリンは、ニコチンガムニコチンパッチと異なり、飲み薬であることが最大の特徴です。また禁煙を開始する日を最初に設定し、その1週間前から服用を開始します。標準的な使用期間は12週間です。12週間の治療で禁煙できた場合、その禁煙をより確実にするため、健康保険は適用されませんが、必要に応じてさらに12週間延長して使用することもできます。

バレニクリンの使い方

バレニクリンの使い方

バレニクリンには0.5mg錠と1mg錠があり、第1週目(第1~7日目)は0.5mg錠を使用し、その後11週間(第2~12週目)は1mg錠を次に示すスケジュールで使用します【図】。飲み始めから2週間分の薬剤を入れたスタート用パックが用意されており、第1週目の用量の変更や禁煙のスタートを確実に行うことができます。

バレニクリンの主な副作用には嘔気・頭痛・便秘・上腹部痛・異常な夢・不眠などがあります。これらの症状は軽度で一過性のことが多いです。嘔気を抑えるために、必ず食後にコップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用するようにします。多くの場合嘔気は一時的で自然に消失しますが、続く場合には吐き気止めを服用したり、バレニクリンの剤形を1mg錠1日2回から半分の0.5mg錠1日2回への減量を検討します。ただし1mg1日2回投与のほうが0.5mg1日2回投与よりも禁煙成功率が高いことが報告されていますので、症状が消失した場合は医師と相談の上で1mg1日2回投与に戻すことも可能です。

なおバレニクリンを使用して、めまい・傾眠・意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されたため、服用中は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないこととされています。禁煙治療中も自動車の運転がどうしても必要な方は、ニコチンパッチによる禁煙治療を選択するなどの対応が必要です。

中村 正和

中村 正和 なかむら まさかず

公益社団法人 地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター センター長

1980年自治医科大学卒業。労働衛生コンサルタント、日本公衆衛生学会認定専門家、厚生科学審議会専門委員。専門は予防医学、ヘルスプロモーション、公衆衛生学。研究テーマはたばこ対策とNCD(生活習慣病)対策。厚労科研研究班代表者(2007-21年度)として、たばこ政策研究に従事。研究成果をもとに禁煙治療の保険適用、たばこ価格政策、健康日本21における喫煙の数値目標の設定、特定健診における禁煙支援の強化等の政策実現に貢献。

参考文献

  1. 日本循環器学会, 日本肺癌学会, 日本癌学会, 日本呼吸器学会
    禁煙治療のための標準手順書(第5版).
    2012.
    http://www.j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/pdf/anti_smoke_std_rev5.pdf