禁煙後に体重が増えることを気にして、禁煙をためらう方は多いと思います。確かに禁煙すると基礎代謝が落ち食欲が増加するため、通常は2~4kgの体重増加がみられます。加えて口寂しさやイライラを防ぐためにいつも以上に食べ過ぎてしまうことにより、さらに体重が増えてしまうことも考えられます。しかし、体重が増加したとしても禁煙することにより得られるメリットははるかに大きいといわれています[1]。体重増加を気にして禁煙をためらったり、せっかく禁煙できたのに体重増加を理由に喫煙を再開しないように、体重を上手にマネジメントしていきましょう。ここでは禁煙後の上手な体重マネジメントの方法について示します。
禁煙後の体重マネジメントには運動が適しています。有酸素運動などの運動はエネルギーを消費するだけでなく、禁煙後に起こるたばこへの渇望感やイライラ等の離脱症状を和らげ、その結果離脱症状として生じる食欲亢進を抑える快効果が報告されています[2]。さらに、最近の研究では有酸素運動が禁煙率を高める効果が報告されています[3]。禁煙開始と同時に「ややきつい」と思える程度(中程度の強度)の運動(うっすら汗ばむ程度の早歩きや山歩き、畑仕事等)を始めることをお勧めします。特に、たばこを吸いたくなったら散歩に出かける等、吸いたい気持ちの対処法に運動を組み込むとよいでしょう。なお、食事量や食事内容の制限は、離脱症状のマネジメントが難しくなることがあり、禁煙が安定してから取り組みましょう。
禁煙補助薬には使用期間中に体重の抑制効果があることが報告されています[4]。特にニコチン代替療法は食欲抑制効果のあるニコチンを取り入れるため、短期的に体重を抑制するといわれています。ニコチン代替療法を行うことで禁煙後の離脱症状も緩和され、禁煙も安定します。禁煙後の体重増加が気になる方は薬局で売っているニコチンパッチやニコチンガムを利用しましょう。禁煙外来で処方されるニコチンパッチは、薬局で購入するものよりもサイズが大きく禁煙の効果も高いので、1日の喫煙本数の多い方にはお勧めです。
禁煙補助薬については、「禁煙のおくすりってどんなもの?」を参照してください。
運動や禁煙補助薬に加え、以下のような方法を取り入れて体重をマネジメントしましょう。
体重マネジメントは、自分の体重を客観的に把握することから始まります。毎日体重測定をして、手帳につけるだけでも体重のマネジメントがうまくいきます。手帳には体重だけでなく、毎日の運動量や食事、間食に加え、禁煙に関する事項(禁煙開始日からの日数や吸いたい気持ち、離脱症状等)を同時に記録すると、禁煙のモチベーションも高まります。サポートしてくれる人に手帳を見せて褒めてもらうことで、禁煙の自信も高まります。
多くの食材を使うことを心がけて、脂っこいものを控えましょう。外食をする場合はできるだけ定食のように品目の多いものを。速食いは太るもとです。意識的にゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。
禁煙すると口寂しくなり、それを補うために間食が増えます。干し昆布や梅干し、タブレット菓子・キシリトール配合のガムなどカロリーの低いものを選ぶようにしましょう。また、飲み物はお茶や水、砂糖の入っていないコーヒーなどを選んで、ジュース・アルコールは飲み過ぎないようにしましょう。
(最終更新日:2024年03月06日)