PM2.5とは、大気中に浮遊する粒の大きさが2.5µm以下の微小粒子状物質のことを指します。たばこの煙も典型的なPM2.5です。特に屋内全面禁煙となっていない室内では、たばこの煙による屋内のPM2.5が問題となります。
PM2.5とは、大気中に浮遊する小さな粒子のうち、粒の大きさが2.5µm以下の非常に小さな粒子(微小粒子状物質)のことを指します。草や木・化石燃料などの燃焼によって発生します。たばこの煙も典型的なPM2.5です。
PM2.5は非常に小さな粒子であるため、肺の奥深くまで入り込みやすく、肺をはじめ全身の炎症を引き起こします。そのためPM2.5の濃度が高い地域では、呼吸器・循環器疾患による死亡率が高いことがわかっています。また、国内の20万人以上の都市の死亡データを用いて、PM2.5と死亡率との関連を調べた研究では、大気中のPM2.5値が10µg/m3増えると、総死亡率(ただし、事故を除く)が1.3%増加することがわかりました。特に、呼吸器疾患や循環器疾患による死亡と関連していました[1]。
大気中のPM2.5の濃度については、住民の健康を保護するために、環境省が「1年間の平均値が15µg/m3以下、かつ1日の平均値が35µg/m3以下」という基準を定めています。また2013年2月に環境省が設置した専門家会合では、都道府県などが外出を自粛するなどの注意喚起を行う目安を「1日平均値が環境基準の2倍である70µg/m3」と設定しました[2]。
わが国では、大気汚染は大きく改善されたものの、屋内の喫煙規制が国際的に遅れています。2020年4月に改正健康増進法が全面施行されましたが、喫煙可能な店の従業員など、職場や公共空間でたばこ由来のPM2.5に曝露されている人はいます。たとえば日本禁煙学会がとりまとめたファクトシート[3]によると、自由に喫煙可能な店でのPM2.5の値は約600µg/m3と、中国及び米国の大気汚染のリスク評価で「厳重汚染」または「有害」とされている「250~500µg/m3」[4]を超えるレベルとなっています。また、不完全な分煙店では、禁煙席であっても汚染が環境基準を大きく上回ります。屋内全面禁煙がさらに進むことが望まれます。
(最終更新日:2024年03月18日)