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進んでいる世界の受動喫煙対策

世界では「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に示されているように、受動喫煙の健康被害は明白なものとして、分煙ではなく全面禁煙化がすすんでいます。先進国で屋内が全面禁煙でないのは日本ぐらいです。海外の状況に比較して、日本はたばこ対策「後進国」としばしば揶揄されています。

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1990年代以降、アメリカのカリフォルニア州やニューヨーク州などでは、一般の職場はもちろんレストランやバーも全面禁煙とする動きが始まりました。そしてアイルランドで2004年に世界で初めて国全体を全面禁煙とする法律が施行され、同年のニュージーランド、その後もウルグアイ(2006年)・イギリス(2007年)・香港・トルコ(2009年)、そしてアメリカでも半数以上の州で屋内を全面禁煙とする法律が成立しています。喫煙する利用者の利便性よりも、飲食店等で働いている人を受動喫煙から保護することの方が重要だからです。2013年時点で43ヵ国が全面禁煙になっています。下の【表】にその一部を示しますが、途上国を含む世界各国に広がっております。国・州によっては、子どもが乗っている自家用車内までもが規制の対象になっています。

表: 主要国の受動喫煙防止法の施行状況(2012年時点)

主要国の受動喫煙防止法の施行状況

上記の具体的な事例としては下記が挙げられます。

  • イギリス
    全土に受動喫煙防止法が適用され、地方官庁により実施されている。
  • ドイツ
    ババリア州とザールランド州は第8条に添った完全禁煙の州法あり。
  • アメリカ
    2013年第2四半期、完全禁煙の州の数を記載。
  • ロシア
    2013年6月、ホテルの客室も含め受動喫煙防止法を施行。
  • アイルランド
    2004年、全ての施設が禁煙化。
  • ニュージーランド
    1990年、全ての屋内が禁煙化。2011年、刑務所が全面禁煙化。
  • トルコ
    2010年7月、受動喫煙防止法施行、すべて全面禁煙化。自宅内喫煙の制限はないにもかかわらず35%減少。気管支喘息の発作と気道感染が20%減少。

これらの国・州では、法律で公共空間での喫煙を規制しており、違反者への罰金はもちろん違反を容認した施設にも罰金と営業停止処分などの罰則が定められているため、違反する者はいません。

こうした流れの背景のひとつには、やはり国際条約「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の存在があります。受動喫煙については、2007年の第2回締約国会議で「喫煙室や空気清浄機による対策は不適切であり、受動喫煙を防止するためには100%全面禁煙とする必要がある」という方針が示されたからです。

神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例により禁煙化された飲食店

神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例により禁煙化された飲食店

一方で日本でもほとんどの公共施設や公共交通機関、官公庁が禁煙化されましたが、残念ながら100%ではありません。
2012年に実施された厚生労働省の一般の職場に関する調査では、「敷地内全面禁煙が13%」「建物内禁煙が38%」でした。逆に言うと半数の職場ではなんらかの受動喫煙が発生していることになります。バスでは貸し切りバスなどが全面禁煙化されていませんし、列車は寝台車・新幹線が全面禁煙となっていません。さらに飲食店等のサービス産業では、全面禁煙のお店を探すのに苦労するほどです。

2010年に神奈川県、2012年に兵庫県で全国に先駆けて条例による受動喫煙防止の取り組みが実施されました。条例により多くの施設が禁煙化され、確かに一定の効果はありました。しかし全面禁煙化以外に分煙を認めていること、小規模施設では努力義務であることから、海外のような受動喫煙防止対策の決定打にはなりませんでした。

東京が2020年のオリンピック開催都市に決まったことは喜ばしいことですが、オリンピックには屋内が全面禁煙になっている国から多くの選手・関係者が来日します。日本は安全で安心、清潔な国として高い評価を得ているのに、飲食店等のサービス産業が煙モクモクではがっかりすることでしょう。きれいな空気で「おもてなし」ができるように、また、すべての働いている人の健康を守るために、世界標準である屋内100%全面禁煙を1日も早く達成したいものです。

参考文献

  1. WHO
    たばこ規制枠組条約
  2. 厚生労働省
    平成24年度「労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)」の概況