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禁煙の効果

長年タバコを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。また禁煙は病気の有無を問わず健康改善効果が期待できるので、病気を持った方が禁煙することも大切です。つまり病気の予防だけでなく一病息災においてもまず取り組むべき課題です。

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長年タバコを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。1990年に出版されたアメリカの公衆衛生長官の報告書は、これまでの世界各国の研究をまとめ、「禁煙は性別・年齢・喫煙による病気の有無を問わず、すべての人々に大きくかつ迅速な健康改善をもたらす」と報告しています。

もちろん禁煙による健康改善は若年で禁煙するほど効果がありますが、何歳であっても遅すぎることはありません。30歳までに禁煙すれば、元々喫煙しなかった人と同様の余命が期待できることや、50歳で禁煙しても6年長くなることがわかっています。

また禁煙は病気の有無を問わず、健康改善効果が期待できるので、病気を持った方が禁煙することも大切です。つまり病気の予防だけでなく、「健康日本21(第2次)」において重視されている項目である重症化予防(二次予防)においてもまず取り組むべき課題となっています。

禁煙すると24時間で心臓発作のリスクの低下がみられますが、その後比較的早期にみられる健康改善には、せきやたんなどの呼吸器症状やインフルエンザなど呼吸器感染症にかかる危険が低下することがあげられます(図[1][2])。禁煙後早ければ1ヵ月たつと、せきや喘鳴などの呼吸器症状が改善します。また免疫機能が回復して、かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなります。

禁煙による健康改善

さらに禁煙後1年たつと肺機能が改善し、禁煙2-4年後には虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約1/3減少します。肺がんのリスクが低下するのは禁煙5年後以降と少し時間がかかりますが、禁煙して10-15年経てば様々な病気にかかる危険が非喫煙者のレベルまで近づくことがわかっています。

そのほか禁煙すると顔色や胃の調子が良くなったり目覚めがさわやかになるなど、日常生活の中で実感できる色々な効果があります。禁煙すると家族から喜ばれたり、何事にも自信がついたりすることも禁煙に成功された方々の体験からわかっています。
またニコチン切れで「イライラ」したり、家族から毎日のように「タバコ臭い」「煙たいからベランダで吸って」などと非難されるストレスがなくなって「禁煙したら家庭内がなごやかになった」と話す禁煙成功者もいます。

(最終確認日:2020年9月17日)

中村 正和

中村 正和 なかむら まさかず

公益社団法人 地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター センター長

1980年自治医科大学卒業。労働衛生コンサルタント、日本公衆衛生学会認定専門家、厚生科学審議会専門委員。専門は予防医学、ヘルスプロモーション、公衆衛生学。研究テーマはたばこ対策とNCD(生活習慣病)対策。厚労科研研究班代表者(2007-21年度)として、たばこ政策研究に従事。研究成果をもとに禁煙治療の保険適用、たばこ価格政策、健康日本21における喫煙の数値目標の設定、特定健診における禁煙支援の強化等の政策実現に貢献。

参考文献

  1. イギリスタバコ白書 「Smoking Kills」
    1998.
  2. IARCがん予防ハンドブック 11巻
    2007.