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乳幼児突然死症候群 / SIDS(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん)

赤ちゃんが、突然亡くなってしまう病気。それまでの健康状態や病歴からはその死亡が予測できず、原因不明のものをいう。窒息などの事故による死亡とは異なる。

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厚生労働省SIDS研究班では、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群」と定義しています。主に睡眠中に発症し、日本では2022(令和4)年には 47 名の乳幼児が SIDS で亡くなっており、乳児期の死亡原因としては 第4位となっています[1][2]

原因はまだ分かっていませんが、育児環境の中で以下の3つのポイントを守ることで、SIDSの発症率が低くなるというデータがあります。

1.あおむけに寝かせる

寝かせるときにうつぶせに寝かせたときのほうが、SIDSの発症率が高いことがわかっています。医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、1歳になるまでは、寝かせるときはあおむけに寝かせましょう。睡眠中の窒息事故を防ぐことにもつながります。

2.できるだけ母乳で育てる

母乳育児が赤ちゃんにとっていろいろな点でよいことは、よく知られています。母乳で育てられている赤ちゃんのほうが、SIDSの発生率が低いということが研究者の調査からわかっています。できるだけ母乳育児にトライしましょう。

3.たばこをやめる

たばこはSIDS発症の大きな危険因子です。妊娠中の喫煙は、赤ちゃんにさまざまな悪影響を及ぼします(「女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響」参照)。妊婦や赤ちゃんの周囲の人も、喫煙をやめましょう。また、出産後も、両親など赤ちゃんの周囲の人の喫煙がSIDSの発症リスクを高めます[3]。妊娠をきっかけにみんなで禁煙することが大切です。

(最終更新日:2023年11月21日)

中村 正和

中村 正和 なかむら まさかず

公益社団法人 地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター センター長

1980年自治医科大学卒業。労働衛生コンサルタント、日本公衆衛生学会認定専門家、社会医学系指導医・専門医。専門は予防医学、ヘルスプロモーション、公衆衛生学。研究テーマはたばこ対策とNCD(生活習慣病)対策。厚労科研研究班代表者(2007-21年度)として、たばこ政策研究に従事。研究成果をもとに禁煙治療の保険適用、たばこ価格政策、健康日本21における喫煙の数値目標の設定、特定健診における禁煙支援の強化等の政策実現に貢献。

参考文献

  1. こども家庭庁.乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)について.
    https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids/guideline/
  2. こども家庭庁.乳幼児突然死症候群(SIDS)について.
    https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids/
  3. 厚生労働省.喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書.2016.
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000135586.html