未成年者を含め若者の喫煙の問題点として、「1. 健康影響が大きい」「2. より高度なニコチン依存症に陥りやすい」「3. 喫煙以外の薬物依存の入り口となる」ことがあげられます。
若者の喫煙には、喫煙に関する知識や態度、自己イメージなどの心理的要因が関わるほか、保護者等の周囲の喫煙状況、学校での喫煙規制、たばこの価格、たばこ広告の規制など、若者をとりまく環境の影響が大きいことがわかっています。したがって喫煙防止のためには、地域や社会としての包括的な対策が必要です。
若者の喫煙は、本人にとって喫煙の健康影響、特にがんなど長期の影響についていまひとつ理解しにくい側面があるほか、その成長段階での社会や心理的な背景などからも対応が難しい課題の一つです。加えて、漫画や映像をはじめとする若者に身近な文化を通じ、喫煙が若者にとって望ましいものであるようなイメージが含まれることもあり、若者をとりまく環境という側面も無視できません。
若者の喫煙に関する健康影響については、もちろん若くから吸い続けるとそれだけ長く吸ってしまうことになり、がんや虚血性心疾患をはじめ長期の健康影響のリスクがより高くなるということもありますが、身体活動やスポーツへの影響、咳やたんといった呼吸器症状や喘息発作など、日常生活でみられる急性の健康影響も確実にあることを見落とすことはできません。
若者の喫煙に影響する要因にはさまざまなものがありますが、特に海外では研究が数多く行われており、下記の要因について若者の喫煙に影響があるとされています。
日本では先進国の中でたばこの価格が安く、若者にとって入手しやすい環境にあります。たばこの値上げは、成人喫煙者の禁煙に役立つだけでなく、若者の喫煙防止に有用であることがわかっています。今後、若者の喫煙を減らすためには、たばこ税・価格の大幅な引き上げが必要です。
学校の喫煙規制が生徒の喫煙防止につながることもわかっています。日本で近年未成年者の喫煙率が低下している理由のひとつとして、学校での敷地内禁煙が進んだことがあげられます。そのほか受動喫煙防止のための法規制やたばこ広告の規制、マスメディアキャンペーンが若者の喫煙率を低下させることについても明らかになっています。
喫煙防止教育については、喫煙開始年齢を遅らせたり、一部のプログラムで喫煙率を減らす効果が報告されています。効果的な教育方法として、喫煙の急性影響に焦点をあてた知識の習得、 喫煙を促す社会的圧力(広告、家族や友達の喫煙など)への気づき、社会的圧力への対処スキルの習得(広告分析、たばこを勧められた時の断り方)、ピア・リーダーの活用、地域や家庭・マスメディアのプログラムと組合せた取り組みがが推奨されています。
喫煙はリスクの高い性行動やアルコール・その他薬物の使用など、喫煙以外の健康リスクのある行動とも関連があります。たばこにせよアルコールをはじめ種々のリスク行動にせよ、若者の健康問題については、学校や家庭での教育にとどまらず社会や地域などを含めた包括的な対策が必要です。