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受動喫煙 – 他人の喫煙の影響

喫煙者が吸っている煙だけではなくタバコから立ち昇る煙や喫煙者が吐き出す煙にも、ニコチンやタールはもちろん多くの有害物質が含まれています。本人は喫煙しなくても身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうことを受動喫煙と言います。
国立がんセンターの研究によると受動喫煙による肺がんと虚血性心疾患によって年間6,800人が亡くなっていると報告されており健康影響は深刻です。最近の世界的な動きとして公共の場所や職場での禁煙化が法的な規制の下で進んでいますが、その効果として規制後まもなく急性心筋梗塞や喘息等の呼吸器系疾患による入院が減少したことが報告されています。

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私たちの中には、たばこの煙が充満した空間で育ち、また暮らしてきたという人も少なくありません。かつて日本では、国が財政物資としてたばこを販売し、また男性の8割が喫煙していた時代があり、喫煙は非常に身近な習慣でした。
一方、工場や車の排気ガスの規制が強化され、またいわゆる野焼きなども行われなくなり、私たちの生活環境、特に空気についてはかなり改善しつつあります。そんな中、改めてたばこの煙について考えてみましょう。

たばこの煙には約4000種類の化学物質、約200種類の有害物質、60種類以上の発がん物質が含まれています。喫煙する人が吸っている煙だけではなく、たばこから立ち昇る煙、また喫煙者が吐き出す煙にも、ニコチンタールはもちろん、多くの有害物質が含まれています。本人は喫煙しなくても、身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうことを受動喫煙と言います。

この受動喫煙については、実は能動喫煙同様に古くから健康影響が示唆されており、日本においても昭和12年にドイツのF.リキントの書籍を翻訳・加筆した「恐るべき喫煙と健康(岡田道一)」においても、慢性ニコチン中毒に関連して「受け身の喫煙とでも言うべき」状態として記載されています。

受動喫煙の科学的な研究は、日本の平山雄博士による報告が世界的に知られています。1981年英国医学雑誌に掲載された、重度喫煙者の妻(非喫煙者)の肺がん死亡リスクについての論文では、本人が吸わなくてもヘビースモーカーの夫をもった女性では、肺がん死亡のリスクが約2倍になると報告されています。
以後多くの研究がなされ、さらに複数の研究結果をまとめて推計するメタアナリシス(メタ分析)も行われています。その結果、現在では受動喫煙による肺がんと虚血性心疾患のリスクはそれぞれ1.2~1.3倍(20~30%の上昇)、1.25~1.3倍(25~30%の上昇)とされています。さらに受動喫煙は子供の呼吸器疾患や中耳炎、乳幼児突然死症候群を引き起こすことが指摘されています。また、妊婦やその周囲の人の喫煙によって低体重児早産のリスクが上昇します。

受動喫煙による健康影響のまとめ[1]

成人に起こりうる疾患
  • 心疾患(1.25-1.30倍*)
  • 肺がん(1.20-1.30倍*)
*家や職場で受動喫煙に曝露される人のリスク
※心疾患については、心臓発作のリスクを高めるような循環器系への急性悪影響がある。
※リスクの無い水準はなく、短い曝露でも危険な場合がある。
乳幼児・児童に起こりうる疾患
  • 呼吸器症状(咳・痰など)
  • 肺の発達の遅れ
  • 乳児突然死症候群(SIDS)
  • 急性呼吸器感染症
  • 耳疾患(中耳炎など)
  • より頻回でより重症度の高い喘息発作

また最近の世界的な動きとして、公共場所や職場の禁煙化が法的な規制の下で進んでいます。その効果として規制後まもなくして急性心筋梗塞や喘息等の呼吸器系疾患による入院が減少することが報告されています。
受動喫煙対策の取り組みが遅れているわが国において、受動喫煙による健康被害を防ぐためには、WHOのたばこ規制枠組み条約で求められている公共場所や職場の建物内禁煙の実現が必要です。

参考文献

  1. 米国公衆衛生総監報告書(2006年)
    CDC(Centers for Disease Control and Prevention) / 2006 Surgeon General's Report
    http://www.cdc.gov/tobacco/data_statistics/sgr/2006/
  2. WHO MPOWER
    2008.