わが国の自殺対策は1998年の自殺の急増を受けて社会的取り組みとして行うことが認識され、国が制定した自殺対策基本法(2006年)に基づき、国、地方自治体、その他の関係者が協働して対策にあたることになりました。2017年の第3次自殺総合対策大綱では、地域自殺対策計画の策定に基づく地域ごとの自殺総合対策を実施することになりました。2020年のCOVID-19パンデミック下では自殺者数の増加が認められ、子ども・若者や女性の自殺対策の重要性が強調されるようになりました。
2022年に策定された第4次自殺総合対策大綱では、COVID-19パンデミック後の新たな自殺対策の取組として、「女性、無業者、非正規雇用労働者、ひとり親、フリーランス、児童生徒への影響も踏まえた対策」という視点が付け加えられ、多世代にわたる自殺総合対策を地域ごとに推進していく重要性が確認されました。世界的には、科学的エビデンスに基づく実装科学の視点を入れた高度な研究成果に基づく対策の推進が求められています。
心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder)の略です。生死に関わるような体験をし、強い衝撃を受けた後で、その体験の記憶が当時の恐怖や無力感とともに、自分の意志とは無関係に思い出され、まだ被害が続いているような現実感を生じる病気です。日本の総人口の1.3%に生じるとされ、それほど珍しくない病気といえます。3カ月以内に半分以上の方が自然回復するものの、1年以上経っても一定数の方は自然回復しないとする研究もあります。持続エクスポージャー療法(認知行動療法)やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの薬で治療することができるようになってきました。
うつ病は、何もやる気が出ない(意欲低下)・悲しい気持ちになる(抑うつ気分)などの「こころの症状」と、食欲がでない(食欲低下)・眠れない/起きられない(不眠/過眠)・体がだるい(倦怠感)・口が渇く・頭痛・動悸・めまいや耳鳴りなどの「体の症状」が現れる病気です。体の症状が目立つため、こころの症状に気づきにくいことがあります。体の不調を感じたときは、かかりつけ医に相談してみましょう。
外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のこと。その原因となる外的刺激(ストレッサー)とそれに対する私たちの心身の反応(ストレス反応)とを合わせてストレスと呼ばれることもある。
精神疾患の診断と治療を専門的に行う医師。
クライエントや患者が困っていることや悩んでいることを専門家との会話や対話を通して解決または自己受容あるいは自己変容していくもの。