厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

e-ヘルスネット

野菜、食べていますか?

野菜は「健康に良い」と理解していても、意識しなければ十分な量を摂取することができません。1食1皿以上・1日5皿分を食べることを目指しましょう。調理の工夫をしたり、簡単に野菜を多く食べる料理を取り入れてみたりしましょう。またその際には主食・副菜・主菜をそろえた食事を心がけ、調味料などにも工夫をしてみましょう。

twitterでシェアする

facebookでシェアする

皆さんは野菜を十分に食べていますか?

厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」をみると、平成22年調査では、生活習慣病予防・改善のための取り組みとして「野菜をたくさん食べるようにしている」と回答した人(30歳以上)は、男性約45%、女性約60%にのぼります[1]

しかし平成30年の同調査での野菜類平均摂取量を見ると、成人男性で約290g、女性で約270gとなっています。特に20~30歳代は男性で約260g、女性で約240gと成人の平均より約30gも少ない量になっています。【図1】
野菜は「健康に良い」ことは知っているけれど、意識しなければなかなか十分に食べることができないのではないでしょうか。

図1. 成人の野菜類摂取量の現状([2]より一部改変)

成人の野菜類摂取量の現状

「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための目標値の一つに「野菜類を1日350g以上食べましょう」と掲げられています[3]。前述の摂取量と比較すると、例えば「ほうれん草のお浸し」では小鉢1皿~2皿分が不足していることになります。

そのため1回の食事にサラダや野菜が主材料の小鉢を1皿以上食べることを目指しましょう。食事バランスガイドでは、野菜のほか、きのこ、豆、いも、海藻料理も含めて「副菜」とし、1日5~6皿が摂取目安となっています。【図2】

図2. 副菜料理の料理例と目安([4]より一部改変)

副菜料理の料理例と目安

食事は野菜だけでなく、ごはんや肉・魚など様々な食品を組み合わせて食べる、つまり主食・主菜・副菜を組み合わせて食べることにより、必要な栄養素をまんべんなく摂ることが必要です。「野菜を350g食べれば、あとは自由に食べて良い」という目標ではなく、野菜と一緒に食べる食品からの栄養素摂取のバランスも加味された目標です。野菜を食べるということは、食生活全般を見直すことにつながるのです。

野菜を多く食べるメリット

野菜は、ビタミンミネラル食物繊維を多く含んでいます。多くの研究で、野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が出ています。

野菜に含まれるビタミンは、ごはんなどに含まれる炭水化物が体内でエネルギーに変わる手助けをしてくれます。摂取した栄養素が体内で利用されるためには、ビタミン類(特にB群)を不足なくとることが必要になります。ミネラルは、身体機能の維持・調整に不可欠で、特に野菜に多く含まれるカリウムは、余分なナトリウム(食塩)を体外に排泄するのを手助けしてくれ、高血圧の予防にもなります。しかし腎臓を患っている人はカリウムの排泄が十分にできないことがあり、注意が必要です。また特に色の濃い野菜(カボチャ・水菜など)には、カルシウムも多く含まれています。

野菜は低脂肪、低エネルギーでありながら「かさ」が多いことから、満腹感を与えてくれます。反対にかさが多いと食べにくいということがあるかもしれません。例えばキャベツなど葉物を食べるときは、熱を加える(例えば電子レンジにかける、ゆでるなど)と、かさは小さくなって食べやすくなります。【図3】

図3. 調理法による野菜の量([5]より一部改変)

調理法による野菜の量

野菜を多く食べられる料理「野菜とお肉の重ね蒸し」を紹介します。お鍋(できれば平鍋)に白菜(またはキャベツ)などの野菜をざく切りしたものを豚肉などと交互に重ねて入れます。少量の日本酒(または水)を入れて、フタをして火加減に注意しながら(焦がさないように)、お肉の色が変わり野菜がしんなりするまで熱します。お好みでポン酢などに付けて召し上がってみてください。とても簡単で、自然とたくさん野菜を食べることができます。料理が苦手な人や普段料理をしない人もぜひチャレンジしてみてください。

また、せっかくの野菜も、ドレッシングなどをたっぷりかけたり、塩辛い漬け物として多く食べたりしては、その効果は半減してしまいます。ドレッシングの代わりに香辛料やレモンなどの柑橘類を使ってみたり、低塩の調味料などを選んでみたりしましょう。毎日の食生活の中で心がけてみてください。

(最終更新日:2020年2月18日)

荒井 裕介 あらい ゆうすけ

千葉県立保健医療大学 健康科学部 栄養学科 准教授

管理栄養士。行政栄養士、独立行政法人国立健康・栄養研究所研究員を経て、2010年より千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科講師。2017年より現職。専門は公衆栄養学。

参考文献

  1. 厚生労働省.
    平成22年国民健康・栄養調査報告.
    2012.
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h22-houkoku.html
  2. 厚生労働省.
    平成30年国民健康・栄養調査結果の概要.
    2020.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html
  3. 公益財団法人健康・体力づくり事業財団
    健康日本21(第二次).
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html
  4. 厚生労働省, 農林水産省.
    食事バランスガイド.
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
  5. 農林水産省.
    実践食育ナビ
    https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/yun/message1.html