四季の旬の食材について、出回り期とその他の時期での成分の違いを解説します。ここでは春と夏の食材について取り上げます。
日本では古来より四季を通して「旬(しゅん)」を楽しむ風習があります。
旬とは、ある特定の食材において、ほかの時期よりも新鮮でおいしく食べられる時期をいいます。また旬の物はよく市場に出回るため値段も安価になりやすく、消費者にも嬉しい時期です。「出盛り期」とも呼びます。
春(2月~4月)の旬の野菜といえば、キャベツ・新じゃが・筍(たけのこ)・たらの芽・菜の花・ふきなどがあります。
夏(5月~7月)の旬の野菜は、えだまめ・オクラ・かぼちゃ・きゅうり・トマト・なす・ピーマンなどがあります。[1]
トマトなどは店頭に1年中並んでいますが、出回り最盛期とそれ以外の時期では、栄養成分にどの程度の差があるかを見てみましょう。[2]
実験では、東京とその近郊の5店舗において毎月店頭でよく売れている品種、そしてより新鮮なトマトを1年間分析しました。その結果の一部として、ビタミンの一種であるカロテンを100g当たりで比較してみると、出回り期の7月では528μgあるのに対して、11月には241μgと出回り期の半分以下の結果となっています【図】。1年間を通しての平均値は364μgでした。
この実験ではトマトのほかにも、じゃがいも・かぼちゃ・キャベツ・さやいんげん・セロリー・にんじん・ピーマン・ブロッコリー・ほうれん草・キウイフルーツ・マンゴの計12種類の野菜と果物について分析を行っています。詳細な結果は直接論文を入手して読んでいただければ一番よいと思います。
野菜や果物は出回り期が長く1年中手に入れることができますが、やはり旬を考慮した季節感のある献立を心がけるようにしましょう。
(最終更新日:2021年4月7日)