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旬を取り入れた食生活(秋・冬)

四季の旬の食材について、出回り期とその他の時期での成分の違いを解説します。ここでは秋と冬の食材について取り上げます。

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新鮮でおいしい旬の物

日本では古来より四季を通して「旬(しゅん)」を楽しむ風習があります。
旬とは、ある特定の食材において、ほかの時期よりも新鮮でおいしく食べられる時期をいいます。また旬の物はよく市場に出回るため値段も安価になりやすく、消費者にも嬉しい時期です。「出盛り期」とも呼びます。

秋(8月~10月)の旬の野菜といえば、銀杏(ぎんなん)・栗・ゴボウ・さつま芋・里芋・松茸などがあります。
冬(11月~1月)の旬の野菜は、かぶ・小松菜・大根・長ネギ・白菜・ほうれん草・百合根などがあります。[1]

ほうれん草のビタミンC含有量の月別比較

図: ほうれん草のビタミンC含有量の月別比較[2]

旬の食材は栄養成分も豊富

ほうれん草などは店頭に1年中並んでいますが、出回り最盛期とそれ以外の時期では、栄養成分にどの程度の差があるかを見てみましょう。[2]
実験では、東京とその近郊の5店舗において毎月店頭でよく売れている品種、そしてより新鮮なほうれん草を1年間分析しました。その結果の一部として、ビタミンCを100g当たりで比較してみると、出回り期の12月では84mgあるのに対して、9月には17mgでした。出回り期と比較して約5分の1の結果となっています【図】。1年間を通しての平均値は43mgでした。

皆さんもよくご存じの食品成分表(正式には『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』[3]といいます)において、ほうれん草の可食部100g当たりのビタミンC含有量は、「【通年平均(食品番号:06267)】35mg」のほかに「【夏採り(食品番号:06355)】20mg」と「【冬採り(食品番号:06356)】60mg」が記載されています。同じほうれん草を100g食べたとしても、その食べる時期(厳密には種類が異なります)によってビタミンC摂取量が変化することを考慮しているわけです。

野菜や果物は出回り期が長く1年中手に入れることができますが、やはり旬を考慮した季節感のある献立を心がけるようにしましょう。

(最終更新日:2021年4月7日)

高橋 東生 たかはし とうせい

東洋大学 食環境科学部 健康栄養学科 教授

博士(医学)、管理栄養士。東京農業大学、聖徳大学、桐生大学を経て2018年より現職。
専門は公衆栄養学。

参考文献

  1. 鈴木登紀子
    旬の味
    講談社, 2007.
  2. 辻村卓 他
    出回り期が長い食用植物のビタミンおよびミネラル含有量の通年成分変化[1]
    ビタミン, 71巻2号, 1997.
  3. 文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会報告
    日本食品標準成分表2020年版(八訂)
    令和2年12月.