厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

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今日の健康問題・食料問題に対応し、食生活の方向を示す「食生活指針」

今日、私たちの栄養・食生活に関連しては「健康問題」や「食料問題」が見られます。「食生活指針」はこれらの問題に対応して、日々の食生活をどのようにしたら良いかを10項目にまとめたもので、平成12年(2000年)3月に文部・厚生・農林水産省の3省合同により作られました。

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私たちは、食べ物を食べることで生命を維持しています。日々の食生活にはこれに加え「1. 健康の保持・増進のための栄養の確保」「2. 食べ物を味わい、人と共に食べる楽しさ等の精神的な満足」「3. 郷土料理や伝統食・行事食等の食文化」の点で価値や意味があります。またこのような価値や意味を持つ食生活の実現にとって、必要な食料の十分な供給は欠くことの出来ないことです。

しかし現実の食生活では、朝食の欠食・野菜の摂取不足・脂肪や塩分のとり過ぎ・カルシウムの不足等が見られ、肥満者の増加の一方で女性の痩せ過ぎもある等、多様な問題が複雑に現れています。さらに食生活の影響が大きいといわれる生活習慣病は、医療費の約3割・死因別死亡割合の約6割を占めています。また大切な食料の点では、食料自給率(エネルギーベース)は近年ほぼ40%(39%-41%)で変化がなく、先進国の中で最低の水準にあります。加えて食べ残しや食べ物の廃棄の問題があり、食料の問題は地球規模での資源問題や環境問題としても考える必要があります。

このように、今日の私たちの食生活は本来持つ意味や価値から大きく外れてしまい多くの問題を抱えているのです。「食生活指針」は、これらの問題に対応して「1. 健康の保持・増進」「2. 生活の質(QOL)の向上」「3. 食料の安定供給の確保」のために日々の食生活をどのようにしたら良いかを分かりやすく示しています。平成12年(2000年)3月、文部・厚生・農林水産省の3省合同により作られたもので10項目からなり、各項目には実践するための具体的な取組内容も示されています。「食生活指針」は、昭和60年(1985年)に「健康づくりのための食生活指針」が、平成2年(1990年)に「対象特性別食生活指針」が出されていることから、これらと区別するために平成12年に作られたものを「新しい食生活指針」とも言います。先の「食生活指針」が厚生省単独によることもあり健康の保持・増進に主眼がおかれているのに対して、「新しい食生活指針」はより広い視野が盛り込まれています。

10項目の内容は、1~2番目は「生活の質」の向上の観点から食生活の楽しみ等のあるべき形を示し、3~6番目は食事による栄養のバランスを整える観点から料理レベル・食材(食品)レベル・栄養素レベルと順を追ってどのように食べたら良いのかを示しています。さらに7番目では生活習慣病に繋がりやすい肥満を予防する観点から適正体重を維持する食事量の摂取を薦め、8~9番目は食料問題の解決や食文化の観点から地域食材の利用・無駄を減らす努力・行事食の見直しなどを言っています。最後に10番目で1~9番目のまとめも含め各人の食生活への自覚や配慮を促しています。

ひとりひとりがこの10項目を意識して食生活を送ることがそれぞれを健康に導き、結果的に社会全体の健康や食料の問題解決に向うことになります。また「食生活指針」の実践をより一層簡単にするために平成17年(2005年)には「食事バランスガイド」が作られました。1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いのかがざっくりと分かるようになっています。「食事バランスガイド」を多くの人が活用することは、「食生活指針」が目指す今日の食生活における健康問題や食料問題の解決にとって重要なことといえます。

「食生活指針」は、平成18年(2006年)には「妊娠期及び授乳期における望ましい食生活の実現に向けた食生活指針」が出されました。いずれの「食生活指針」も健康の保持・増進に役立つことを念頭に作られていますから、その意味を理解し上手に活用することが大切です。

食生活指針[2]

食事を楽しみましょう。

  • 心とからだに美味しい食事を。味わって食べましょう
  • 毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう
  • 家族の団らんや人との交流を大切に。また、食事づくりに参加しましょう。

1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。

  • 朝食で、いきいきとした1日を始めましょう。
  • 夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
  • 飲酒はほどほどにしましょう。

主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスを。

  • 多様な食品を組み合わせましょう。
  • 調理方法が偏らないようにしましょう。
  • 手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせましょう。

ごはんなどの穀類をしっかりと。

  • 穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
  • 日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。

野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。

食塩や脂肪は控えめに。

  • 塩辛い食品を控えめに、食塩は1日10g以下にしましょう。
  • 脂肪のとりすぎをやめ、動物・植物・魚由来の脂肪をバランス良くとりましょう。
  • 栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう。

適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。

  • 太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう。
  • 普段から意識して身体を動かすようにしましょう。
  • 美しさは健康から。無理な減量はやめましょう。
  • しっかり噛んで、ゆっくり食べましょう。

食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。

  • 地域の産物や旬の食材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう。
  • 食文化を大切にして、日々の食生活に活かしましょう。
  • 食材に関する知識や料理技術を身につけましょう
  • ときには新しい料理を作ってみましょう。

調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。

  • 買いすぎ・作りすぎに注意して、食べ残しのない適量を心がけましょう。
  • 賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう。
  • 定期的に冷蔵庫の中身や家庭内の食材を点検し、献立を工夫して食べましょう。

自分の食生活を見直してみましょう。

  • 自分の健康目標をつくり、食生活を点検する習慣を持ちましょう。
  • 家族や仲間と食生活を考えたり、話しあったりしてみましょう。
  • 家族や家庭で食生活の正しい理解や望ましい習慣を身につけましょう。
  • 子供の頃から、食生活を大切にしましょう。

参考文献

  1. 財団法人 日本食生活協会
    食生活指針ガイド2002
  2. 文部省 厚生省 農林水産省
    食生活指針の解説要領 平成12年12月