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嗜好飲料(アルコール飲料を除く)

嗜好飲料とは、個人の嗜好を満足させるために用いられる飲料を指し、「茶類」「コーヒー」「清涼飲料」「ジュース・果汁入り飲料」「スポーツドリンク」などが挙げられます。糖類を含む嗜好飲料の多飲はエネルギーの過剰摂取となり、肥満をきたすおそれがあります。

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ひとの水分必要量は1日に約2.5Lと言われています。このうち約1Lを食品から摂取し、残りの約1.5Lを水分としてだいたい摂取しているようです。私たちの生活ではこの1.5Lの水分を水・茶類・嗜好飲料などで摂取するのが一般的です。嗜好飲料は水分補給の目的以上に、エネルギー源(特に糖類)の摂取につながりやすくなります。ここでは糖類を含む嗜好飲料について解説します。

コーヒー飲料

コーヒー飲料は、コーヒー以外にミルクや他の成分が入っているものをいいます。自分でミルクや砂糖を加えて飲むのとは違い、どれくらいの量のミルクや砂糖が入っているのかわかりづらく、予想以上のエネルギー摂取になってしまう場合があります。100mLあたり35-40kcalあるものが多く、190gの缶入りコーヒー飲料は約70kcalとなります。1日複数本飲む人では、エネルギーの過剰摂取になる危険があります。

なお、「ノンカロリー」「低カロリー」「ノンシュガー」「微糖」などの表示は、栄養成分表示において規定があります。必ずしも0kcal・砂糖0gとは限らないことを理解しておきましょう。

栄養成分表示の強調表示
栄養成分 「無」「ノン」などの表示
100gまたは100mLあたり
「低」「オフ」などの表示
100gまたは100mLあたり
エネルギー
(熱量)
5kcal未満
例: ノンカロリー
20kcal以下
例: カロリーオフ
脂質 0.5g未満
例: ノンファット
1.5g以下
例: ローファット
糖類* 0.5g未満
例: ノンシュガー
2.5g以下
例: 低糖・微糖

* 栄養成分表示では、糖類とは別に炭水化物の量を示すことになっています。糖類は単糖類(ブドウ糖・果糖など)と二糖類(砂糖・乳糖など)を指します。

炭酸飲料・清涼飲料水

炭酸飲料とは水に二酸化炭素(炭酸ガス)を圧入した飲料、またはこれに果汁・乳・甘味料・酸味料・香料などを加えた飲料をいいます。炭酸飲料・清涼飲料水の原材料の表示では、最初に(最初に示されるのが一番多く含まれるもの)果糖・ぶどう糖液糖・砂糖を示すものがほとんどです。サイダーでは100mL中に砂糖類が約10g(40kcal)、500mLのペットボトルで200kcalとなります。

いわゆる「ペットボトル症候群」とは、炭酸飲料や清涼飲料水の多飲により吸収の早い糖類が高血糖状態をまねくことをいいます。血糖値が上昇すると喉が渇くため、さらに清涼飲料水を飲むという悪循環に陥ってしまいます。重度の場合は、意識朦朧・昏睡などの症状を呈すこともあります(糖尿病性ケトーシス)。透明度のせいでエネルギーがあるように認識しにくい、また特に学童期の子どもは清涼感のある甘みを好むなどの理由が、この状況に陥りやすくさせます。

なお、ノンアルコール飲料は炭酸飲料に分類され、糖類が10%程度含まれるものがあります。「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」などと表記されたノンアルコール飲料も、先述のとおり、必ずしも0kcal、砂糖0gとは限りません。

ジュース・果実飲料

ジュースとは果汁100%の飲料のことを指し、果汁10%以上100%未満のものを果汁入り飲料といいます。「果実・野菜ミックスジュース」は果汁+野菜汁=100%ということになります。果実や野菜に由来する糖質がジュースのエネルギーになります。ジュースや果実飲料は、炭酸飲料や清涼飲料水と比べるとビタミンミネラルを含みます。

スポーツドリンク

スポーツドリンクとは、スポーツの前・中・後に水分の補給と糖質を中心としたエネルギー源の補給、ビタミンやミネラルを補給する飲料の通称です。清涼飲料水より糖質の含有量は低く抑えられています。それは体液の濃度より飲料の濃度を低くし、浸透圧を低くすることによって小腸で速やかに水分を吸収しようとするためです。一般の清涼飲料水の糖類が約10%濃度であるのに対し、スポーツドリンクの糖類は約5%濃度です。スポーツをしていないときに飲むスポーツドリンクは清涼飲料水と同じように、多飲はエネルギーの過剰摂取につながりますので注意が必要です。

(最終更新日:2019年3月4日)

五味 郁子

五味 郁子 ごみ いくこ

神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 教授

大学卒業後、オーストラリア・シドニーで臨床栄養士インターンシップを経験。現在は管理栄養士の実践的な教育に取り組んでいる。専門は、高齢者、栄養ケア・マネジメント、臨床栄養、栄養教育。ベトナム国ハノイの管理栄養士栄養士養成・活動支援にも携わっている。

参考文献

  1. 食品表示研究会 編
    食品表示マニュアル
    中央法規出版
    2015