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社員食堂の上手な活用法

社員食堂の料理の提供方法は、定食方式とカフェテリア方式があります。ごはんやおかずを自由に組み合わせることができるカフェテリア方式では、望ましい組み合わせ方をすれば生活習慣病の予防が期待できます。しかし嗜好に偏った食事をしてしまいがちなのも事実です。選び方の基本を知ることや、献立表やプライスカードに記載されている栄養情報を活用することは、望ましい食事をとるための有効な方法です。

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社員食堂の役割

社員食堂は、従業員の福利厚生の一環として実施されていますが、同時に従業員の健康の維持・増進、生活習慣病の予防などの目的も持っています。職場でいつでも手短に「食事をとれる場所」であるのではなく、健康に配慮した食事を食べることで健康を維持・増進できる環境が整っていることが一般の外食や中食との違いです。生活習慣病の増加を背景にして、その重要性はますます大きくなっています。

料理の組み合わせの基本

社員食堂では、1食分の食事内容があらかじめ決められてセットされている定食方式、2種類以上の定食から選ぶことができる複数定食方式、そしてカフェテリア方式などがあります。その他、麺類や丼もの、サイドメニューなどもあります。現在多くみられるのは、カフェテリア方式です。ごはんやおかずを自分の好みで組み合わせられるカフェテリア方式は、自由に選んで食べられるという満足感がある反面、どうしても自分の好みに偏ってしまい、食事バランスも偏ってしまいがちです。いろいろな種類の料理が出ているわりには組み合わせや選ぶ料理はワンパターンということはありませんか?

望ましい食事の基本は「主食・主菜・副菜」がそろっていることです。「主食」とは、ご飯やパン・麺を指し、炭水化物の供給源です。「主菜」はメインとなるおかずで、材料にお肉やお魚、卵や大豆が使われており、たんぱく質源になります。「副菜」は2番目のおかずで、約70g以上の野菜やきのこ・いもや海藻類などが入っている小鉢やお味噌汁で、ビタミンミネラルの供給源になります。これらを揃えてはじめて望ましい食事となります。ただし、納豆・冷奴などの大豆製品や温泉卵などは小鉢に入って提供されていても、たんぱく質源であることから主菜として扱われます。これらを副菜としてとらないように気をつける必要があります。

組み合わせのひと工夫

丼ものや麺類を選ぶ場合には、その他に小鉢(野菜やきのこ、いもや海藻類)を1品追加して、単品ではとりきれなかった野菜類をとるのもおすすめのひと工夫です。また一人暮らしをしている人は、自宅ではなかなか食べる機会の少ない果物やつい不足しがちな野菜など、社員食堂を利用して積極的にとるとよいでしょう。

栄養情報の活用

食堂ではさまざまな栄養情報が提供されています。献立表やプライスカードには栄養成分表示があります。料理のエネルギーや脂質・塩分などが記載されていますので、それらを見比べてから料理を選ぶ習慣をつけると良いですね。20~30代の男性の場合は昼食で800kcal・脂質20g前後を目安に、それ以外の年代の男性または女性は600~700kcal・脂質16g前後を目安にすると良いでしょう。塩分は男女ともに3~4gにおさえることが望ましいです。
また食堂には、栄養的に望ましい料理の組み合わせ例をディスプレイしている場合もありますので、参考にしてみてください。その他食堂に掲示してあるポスターや、テーブル上にある卓上メモなどにも参考になる情報がありますので、ぜひ目を向けてみてください。

社員食堂での食事は、1日の食事のうちの一部であることが多いです。そのため社員食堂で料理を選ぶ時には、そのほかの食事とのバランスを考えることも大切です。

参考文献

  1. 鈴木久乃, 小林幸子, 君羅満, 石田裕美
    給食経営管理論
    南江堂, 2007.
  2. 日本人の食事摂取基準(2005年版)の活用 ―特定給食施設等における食事計画編―