食事バランスガイドは、健康なひとを対象に健康的な食生活の実現をめざすツールとして作成されました。現在は個人だけの活用にとどまらず、「食環境整備」という観点からも食品産業による情報提供(パンフレット・商品の包装を利用した情報提供など)や商品開発(バランス弁当や外食店でのセットメニューなど)が積極的に行われています。
食事バランスガイドは、健康的な食生活を実現することをめざして1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかを一目でわかりやすく示したものです。1日の食事のバランスを振り返るためのツールとして、日常生活で食事バランスガイドを活用するためのポイントをご紹介したいと思います。最初に注意していただきたいことは、食事バランスガイドは健康な人を対象として作成された一次予防のためのツールです。したがってある特定の疾患を有している方や特別な食事管理を必要としている方は、必ず医師・管理栄養士などの専門職の指導に従ってください。
食事のバランスは5つの料理区分で考えます。各料理区分から食べるとよい目安は人によって異なります。右表を見て、自分は各料理区分から「いくつ(SV)」を目安に食べたらよいか調べてみましょう。
1日に食べたものを簡単に書き出して見ましょう。そして料理例(基本編参照)を見ながら、1日に食べた食事の量を料理区分ごとに「つ(SV)」に換算してみましょう。チェックブックを活用していただくと、あなたのコマの形(バランス)が一目でチェックすることができます。詳細は下記の参考文献[2]へ。
適量と自分の食べた量を比べてみて、セルフチェックしてみましょう。そして「1. どんなことに気づいたか」「2. どうすればバランスのよい食事になるか」「3. そのためにすぐにできそうなこと」等を考えてみましょう。
体重や腹囲の変化を見ながら「適量チェック」で調べた量が、今の自分にとって適量かチェックしてください。特に肥満(成人でBMI≥25)の場合や、減量を目指しているのに思うように体重が減らない場合は、目安として示された範囲の少ない「つ(SV)」を選ぶなどの工夫が必要です。
5つの料理区分を覚え、何となく「つ(SV)」が数えられるようになったら、次は料理の内容を考えてみましょう。例えば下図にあるように同じ魚料理でも生のさしみ(75kcal)・塩焼き(120kcal)・ムニエル(190kcal)・フライ(250kcal)といった調理法によってエネルギー量が異なります。同じ肉料理でも部位によってエネルギー量が異なります。そのため料理を選ぶ際には、調理法によるエネルギー量の違いや脂肪(脂身)の少ない食材を使った料理、調味による食塩の多少なども考えてみましょう。また菓子や甘い飲料・アルコール飲料など、ヒモのとり過ぎにも注意が必要です。
食事バランスガイドは、国や自治体の食育推進計画の中でもバランスのよい食事の具体的なツールとしてしばしば紹介されています。個人だけの活用にとどまらず、ポピュレーションアプローチの「食環境整備」という観点から、スーパーマーケットの食品売り場や外食のメニューなど食品産業による情報提供(パンフレットの配布・商品の包装を利用した情報提供など)や食事バランスガイドに基づいた商品開発(バランス弁当や外食店でのセットメニューなど)が積極的に行われています。このように日常の食品購入の場や外食の機会などで目にすることも多くなってきており、従来の栄養指導の場だけでなく、いつでもどこでも気軽に食事バランスガイドを活用できるようになっています。