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アルコールによる健康障害

急性アルコール中毒

急性アルコール中毒は「アルコール飲料の摂取により生体が精神的・身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生じるものであり、通常は酩酊と称されるものである」と定義されます。急性アルコール中毒になると、意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態が悪化するなど危険な状態に陥ります。搬送者数は年々増えており、若年者・女性・高齢者などでリスクが高まり、とくに大学生や新社会人では一気飲みとして飲酒させられ、死亡に至るケースが毎年発生しています。急性アルコール中毒が疑われた場合、適切な処置や対応法を取りましょう。

アルコールと肝臓病

アルコールの飲みすぎにより肝臓病がおこります。はじめは脂肪肝で、飲みすぎれば誰にでも起こります。飲み続けているとアルコール性肝炎になり、死亡することもあり得ます。さらに飲み続けると肝硬変という最終段階に入ります。ここまで来ると治すことが困難になります。そうならないような飲み方、またアルコール性肝臓病の早期発見が大切です。

アルコールとすい臓病

すい臓(膵臓)病には急性すい炎と慢性すい炎および慢性すい炎から起こる糖尿病があります。飲みすぎる人がすべてすい臓病になるわけではありませんが、すい臓病の原因としてアルコールの飲みすぎが多くなっています。特に慢性すい炎の状態ではお酒がやめられないアルコール依存症になっている場合が多く見られます。したがって常習飲酒者で慢性すい炎の診断を受けた場合は、断酒をするべくアルコール依存症治療の専門病院への受診をお勧めします。

アルコールと循環器疾患

適量の飲酒は循環器疾患に保護的に働くといわれています。過度の飲酒は逆に循環器疾患のリスク因子になります。「節度ある適度な飲酒」を守ることが肝要です。また、循環器疾患以外のリスクや持病・体質等も考えると、現在飲酒していない人や飲めない人に対して飲酒を強要しないことも重要です。

アルコールとメタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームに関わる高血圧・高脂血症(脂質異常症)・高血糖には、お酒の飲みすぎが関与している場合が多数見られます。そのためメタボリックシンドロームの予防および治療には、「節度ある適度な飲酒」として成人男子では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g/日本酒換算約1合)程度までとし、さらに週に2日間の休肝日を入れることが大切です。

アルコールとうつ、自殺

アルコール依存症とうつ病の合併は頻度が高く、アルコール依存症にうつ症状が見られる場合やうつ病が先で後から依存症になる場合などいくつかのパターンに分かれます。アルコールと自殺も強い関係があり、自殺した人のうち1/3の割合で直前の飲酒が認められます。

アルコールと認知症

アルコール依存症および大量飲酒者には脳萎縮が高い割合でみられること、大量に飲酒したりアルコールを乱用した経験のある人では認知症になる人が多いといった疫学調査結果から、大量の飲酒は認知症の危険性を高めることが示されています。一方で少量ないし中等量の飲酒は認知症の原因にはならないのみならず、認知症の予防になる可能性があります。

アルコールと癌(がん)

WHO(世界保健機関)の評価(2007年)では、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房の癌の原因となるとされています。またアルコールそのものに発癌(がん)性があり、少量の飲酒で赤くなる体質の2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人では、アルコール代謝産物のアセトアルデヒドが食道癌の原因となるとも結論づけています。

アルコールと歯科疾患

ほどほどの量のお酒が口腔機能に影響を与えることは少ないと思われます。しかしアルコールの過剰摂取を継続すると次第に身体機能が低下してきます。それに伴い口腔衛生の低下や唾液分泌の異常などが起こりやすくなります。その結果として口腔環境が悪化し歯科疾患に罹りやすくなり食機能の低下が懸念されます。

アルコールの消化管への影響

アルコールはほぼ全ての消化管に影響するため、適切な摂取が行なわれないと、胃食道逆流症・マロリーワイス症候群・急性胃粘膜病変(AGML)・門脈圧亢進性胃炎・下痢・吸収障害・痔核など、様々な疾患や症状の原因となります。

アルコール性肝炎と非アルコール脂肪性肝炎

アルコール性と非アルコール性、ふたつの肝炎の組織像は類似しており、肝臓内の酸化ストレスなど共通の発症メカニズムが研究されています。両者とも進行すると肝硬変や肝臓癌に至ります。アルコール性肝炎は常習飲酒家で大量飲酒後に発症し、救命率の低い重症型アルコール性肝炎もあります。アルコール依存症が背景にある場合はその専門治療が必要です。非アルコール性脂肪性肝炎は、過食・運動不足・肥満・糖尿病・脂質異常症などに伴う脂肪肝を背景として発症します。

アルコールと高尿酸血症・痛風

健康診断などで、尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合に高尿酸血症と判断されます。成人男性の20%が高尿酸血症であると言われています。高尿酸血症は痛風関節炎だけでなく、腎障害やメタボリックシンドローム、心血管障害とも関連があります。原因のひとつにアルコール摂取があるため、高尿酸血症を指摘されたときにはお酒との付き合い方を見直してみましょう。

アルコールと糖尿病

適切な飲酒による適量のアルコール摂取は、糖尿病の発生を予防する可能性があります。しかし度を越した過剰なアルコール摂取は高血糖を来たし、それは同時に脂質異常症や高血圧などと相まって脳血管障害・虚血性心疾患の危険因子となります。

アルコールと脂質異常症

体の中の脂質のバランスが崩れてしまうことを脂質異常症といいます。アルコールの過剰摂取は、トリグリセリド(中性脂肪)の増加につながり、高トリグリセリド血症を招いて急性すい炎のリスクを高めます。一方、いわゆる善玉コレステロールであるHDLコレステロールもアルコール摂取量の増加にともない増加しますが、過度のアルコール摂取は肥満や高血圧を引き起こすため、適量にとどめたほうがよいでしょう。

胎児性アルコール・スペクトラム障害

妊娠中の母親の飲酒は、胎児・乳児に対し、低体重や、顔面を中心とする形態異常、脳障害などを引き起こす可能性があり、胎児性アルコール・スペクトラム障害といわれます。胎児性アルコール・スペクトラム障害には治療法はなく、唯一の対策は予防です。また少量の飲酒でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒をやめるようにしましょう。