健康診断などで、尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合に高尿酸血症と判断されます。成人男性の20%が高尿酸血症であると言われています。高尿酸血症は痛風関節炎だけでなく、腎障害やメタボリックシンドローム、心血管障害とも関連があります。原因のひとつにアルコール摂取があるため、高尿酸血症を指摘されたときにはお酒との付き合い方を見直してみましょう。
アルコールは体の中の尿酸値を上げる方向に働きます。アルコールが尿酸値を上げる理由には3つあります。
痛風関節炎は高尿酸血症の結果、関節の中に漏れ出た尿酸が塊を作ることで起こります。その塊を白血球が壊すために赤みや痛み、腫れを生じてしまうのです。痛風関節炎は足の親指の付け根に起こりやすいとされています。
また、腎臓の機能が低下することで尿酸が体から出にくくなり、高尿酸血症を起こします。その一方で高尿酸血症があることで、腎臓の機能も低下させてしまうことが知られるようになってきました。また尿路結石も高尿酸血症でよくみられる合併症です。
メタボリックシンドロームでは体の中のインスリンが増えるため、尿酸を外に出す能力が落ち、それと同時に尿酸が多く作られるようにもなるため高尿酸血症になり得ると言われています。さらに、高尿酸血症では肥満や高血圧を合併するため、心血管障害の危険性も上がります。
痛風関節炎の有無や持病、実際の尿酸値によって治療のタイミングは変わりますが、治療の基本はやはり生活習慣の改善になります。食事療法として適切なエネルギー摂取を行うこと、プリン体を過剰にとらないこと、水分を多くとることがポイントです。
また、運動療法としては有酸素運動が勧められています。無酸素運動はかえって尿酸値を上げてしまうこともあり、注意が必要です。
そして適切な飲酒によるアルコールの制限は、治療の重要な柱となります。ビールだけが原因になる、あるいは低プリン体ビールだから大丈夫だと思っている人が多いのですが、前述したように、アルコールはプリン体の有無にかかわらず尿酸値を上げる働きがあります。そのため、どんな種類のアルコールでも適切な飲酒量にとどめておくことが重要です。
(最終更新日:2022年12月23日)