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アルコールとメタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームに関わる高血圧・高脂血症(脂質異常症)・高血糖には、お酒の飲みすぎが関与している場合が多数見られます。そのためメタボリックシンドロームの予防および治療には、「節度ある適度な飲酒」として成人男子では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g/日本酒換算約1合)程度までとし、さらに週に2日間の休肝日を入れることが大切です。

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1. はじめに

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満(内臓に脂肪がたまった)の状態(基準は腹囲が男性は85cm女性は90cm以上)かつ、高血圧(130/85mmHg以上)・高脂血症(脂質異常症ともいう)(HDLコレステロールが40mg/dl以下あるいは中性脂肪(TG)が150mg/dl以上)・高血糖(空腹時血糖が110mg/dl以上)の3つの項目のうち、2つ以上が当てはまる場合をいいます。なぜメタボリックシンドロームを問題にするかというと、この状態ではきわめて動脈硬化をきたしやすく、心臓・血管病(脳梗塞や心筋梗塞など)の重大な病気になる危険性が大きいからです。

2. アルコールと生活習慣病

メタボリックシンドロームとアルコールの関連性は、メタボリックシンドロームの要素である肥満・高血圧・高脂血症・高血糖(糖尿病)などが生活習慣病と言われ、生活習慣であるお酒の飲みすぎも原因となることから示すことができます。肥満はお酒自体のカロリーだけでなく、つまみが脂っこいものであったり、アルコールによって食欲が亢進したりすることによっても起こります。高血圧は飲酒量が多くなるほど頻度が増えることが報告されています。高脂血症との関連としては飲酒により中性脂肪が増加しすることが指摘されます。糖尿病も食べすぎによるカロリーオーバーだけでなく、アルコール性肝臓病あるいはすい臓(膵臓)病でも起こります。

これらの生活習慣病は、日本における飲酒消費量が第二次世界大戦後急激な増加を示したこと、また折からの経済不況や構造改革とあいまって大きな変革期を迎えストレスフルな状況が増強してきたことなどから大量飲酒者が生じ、それに伴うかたちで増加しています。
さらに問題は生活習慣病を診療している医師でさえもが、アルコールと生活習慣病の重大さを認識していないために、生活習慣病患者の適切な指導である節酒や断酒の指導を行なわないケースがあることです。そのために飲酒が要因となっているメタボリックシンドロームへの進展を看過し、さらに動脈硬化による心臓・血管病への道を進む手助けをしていることが推測できます。結果として現状でも莫大な医療費の無駄使いとなってしまっていると考えられます。

3. 終わりに

飲みすぎによるメタボリックシンドローム予防のためには、2000年より展開されている国民の健康施策「健康日本21」の中で掲げられたアルコールの施策「節度ある適度な飲酒: low-risk drinking」の中にあるように、飲酒量を成人男子では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g:日本酒換算約1合)程度までとし、さらにそれに週に2日間の休肝日を入れることが基準となります。またすでにメタボリックシンドロームになっている人で、上記の節度ある適度な飲酒量を超えている場合には、一時的(約1カ月)な断酒も必要かもしれません。そしてもし断酒や節度ある適度な飲酒が守れない場合には、アルコール依存症になっているかもしれませんので、その場合には速やかにアルコールの専門病院を受診することをお勧めします。

参考文献

  1. 丸山勝也. アルコールと健康障害
    橋本信也(編)現代の養生訓―未病を治す―, pp.130-135
    中央法規出版, 東京, 2008.