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急性アルコール中毒

急性アルコール中毒は飲酒により意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態が悪化するなど危険な状態に陥ります。若年者・女性・高齢者などでリスクが高まり、とくに大学生や新社会人では一気飲みとして飲酒させられ、死亡に至るケースが毎年発生しています。急性アルコール中毒が疑われた場合、適切な処置や対応法を取りましょう。

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急性アルコール中毒は「アルコール飲料の摂取により生体が精神的・身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生ずるものであり、通常は酩酊と称されるものである」と定義されます。

人は飲酒をすれば酩酊と呼ばれる酔った状態になります。通常、血中アルコール濃度が0.02%から0.1%程度ですとほろ酔いと呼ばれるリラックスした状態になりますが、0.3%を越えると泥酔期と呼ばれるもうろう状態、0.4%を越えると昏睡期という生命に危険を生じうる状態になります。
どの程度からが急性アルコール中毒となるのか明確な基準はありません。が、泥酔以上の状態では意識レベルが低下し、嘔吐・血圧低下・呼吸数の低下などが起こり、生命に危険をおよぼす可能性があります。
急性アルコール中毒により死亡する場合、血中アルコール濃度が高まることによって呼吸・循環中枢が抑制されて死に至る場合と、吐物による窒息で死亡する事例があります。また死亡には至らなくとも足下のふらつきなどによって転倒したり、電車や車にひかれる、海や川でおぼれる、もうろう状態で行った言動によってトラブルに巻き込まれるなど、さまざまな危険性が高まります。

一般に若年者・女性・高齢者・飲酒後に顔の赤くなるタイプの人はアルコールの分解が遅いため、飲酒によるリスクが高まります。中でも若年者は自分の限界が分からないこと、アルコールに対してまだ耐性が低いことなどから、急性アルコール中毒のリスクが高いと考えられます。また大学生や新社会人では、新人歓迎行事としてイッキ(一気)飲みと称される慣習がいまだ残っています。

東京消防庁が発表した急性アルコール中毒による搬送者数の推移によれば、年々減少傾向にあるとはいえ、毎年一万人前後の人が急性アルコール中毒によって救急搬送されています。年齢別で見ると、平成24年度(2012年度)では20歳代の搬送者数が5115人と最も多い人数でした。20代の若者が自発的に大量飲酒する傾向にあるとは考えにくく、大学生や社会人になったばかりの若者が新人歓迎行事などでその場の雰囲気にのまれ、あるいは通過儀礼と称して、非自発的に先輩や同僚に飲酒させられていると考えられます。イッキ飲みによる死亡者は毎年一定数発生し続けています。

もし周囲に急性アルコール中毒が疑われる人がいる場合、まず次の救護方法を対応法として心がけましょう。

  1. 絶対に一人にしない。
  2. 衣服をゆるめて楽にする。
  3. 体温低下を防ぐため、毛布などをかけて暖かくする。
  4. 吐物による窒息を防ぐため、横向きに寝かせる。
  5. 吐きそうになったら、抱き起こさずに横向きの状態で吐かせる。

吐けば酔いが覚めて状態が改善すると考えがちですが、酔いつぶれた人を無理に吐かせようとすると吐物が逆流してのどに詰まり、窒息する可能性があります。意識が低下している場合は無理に吐かせようとせずに上記の5点を守りましょう。
また、大いびきをかいて痛覚刺激に反応しない、揺すって呼びかけても反応しない、体が冷たくなっている、倒れて口から泡を吐いている、呼吸状態が不安定などの兆候が現れた場合はすぐに救急車を呼びましょう。ちなみに体調を崩すことが分かっていながら飲酒を強要し、急性アルコール中毒で死亡させた場合は刑法第二百五条(傷害致死罪)が適用され、3年以上の懲役が科せられます。

参考文献

  1. イッキ飲み防止連絡協議会/特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
    「STOP!アルコールハラスメント-死をまねく急性アルコール中毒を防ぐ」
    2013
  2. 東京消防庁
    他人事ではない「急性アルコール中毒」
    http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/201312/chudoku/