成人を対象に、身体活動や運動に取り組むうえでの基本的な考え方、目安、具体例などを紹介しています。また、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することや、筋トレを週2~3日行うことを推奨しています。
※本シートは厚生労働省のホームページに掲載されています。
身体活動とは、安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する、骨格筋の収縮を伴う全ての活動のことです。身体活動は、日常生活における家事・労働・通勤・通学などに伴う「生活活動」と、健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施される「運動」の2種類に分類されます。
座位行動とは、座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動で、例えば、デスクワークをすることや、座ったり寝ころんだ状態でテレビやスマートフォンを見ることなどがあります。
身体活動量が多いほど、疾病の発症リスクや死亡リスクが低いことが明らかになっています[2][3]。さらに、現在の身体活動量が少ない人ほど、身体活動量が今よりわずかに増えるだけでも健康増進効果が得られやすいと考えられます。身体活動量が成人の推奨値を満たしていない人(例えば1日の歩数が8,000歩未満の人)では、今よりも少しでも身体を動かすことが、疾病の発症リスクや死亡リスクの低下につながります。
運動を積極的に実施することでも、健康増進効果が高まると考えられます。息が弾むような運動を週60分実施している場合、疾病の発症リスクや死亡リスクは約10%低いことが示されています[3][4]。また、身体活動量が1日10分多くなると、疾病の発症リスクや死亡リスクが約3%低下すると推測されているのに対して、運動量が1日10分多くなると、そのリスクは約6%低下すると推測されています[3]。さらに、筋力トレーニングの健康増進効果(「筋力トレーニングについて」参照)も明らかになっています。個人の体力や運動の好みに合わせて、週60分以上の運動を実施することで、さらに健康増進効果が得られやすくなると考えられます。
座位時間が長いほど、死亡リスクが増加することが明らかになっています[5]。一方、1日60分以上の中強度以上の身体活動によって、座位行動による死亡リスクの低下が期待できることや[6]、長時間の座位行動をできる限り頻繁に(例えば、30分ごとに)中断(ブレイク)することが、食後血糖値や中性脂肪、インスリン抵抗性などの心血管代謝疾患のリスク低下に重要であることも報告されています[7]。強度を問わず、少しでも身体を動かすことが健康によい影響を及ぼすことが報告されています[8]。立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも身体を動かすことが推奨されます。
(最終更新日:2024年2月22日)