身体活動支援環境のポイントについて、詳しく紹介しています。具体的には、身体活動支援環境の整備が必要な理由や、4つに分類される環境とその整備、他の領域との連携について記載しています。
※本シートは厚生労働省のホームページに掲載されています。
・本情報シートでは、身体活動支援環境が4種類に分類されました。いずれか1つに取り組むのではなく、可能な限り4つ全ての視点での環境整備が推奨されています。
1. 生活活動を促進する物理的環境の整備(場の整備)
生活活動の場を整備しましょう。歩行・自転車利用などの生活活動を促進する都市計画・交通計画の策定、身体活動に適した都市・建築空間デザインの採用、座りすぎを予防する職場環境の整備などが含まれます。
2. 生活活動を促進する社会的環境の整備(機会の創出)
生活活動の機会を増やしましょう。例えば、地域活動の活性化、高齢者の社会参加の機会の増加などが生活活動の増加につながります。交通に着目すると、歩行・自転車利用による移動(通勤、通学、買い物など)を促進する社会環境の整備が考えられます。職場では、立ち会議、階段利用の推奨などによって仕事中の生活活動の機会が増加します。
3. 運動を促進する物理的環境の整備(場の整備)
運動を行う場所を整備しましょう。運動施設、遊歩道、公園、こどもの遊び場、園庭、自然環境の整備などが含まれます。
4. 運動を促進する社会的環境の整備(機会の創出)
運動する機会を増やしましょう。体育、部活動、外遊びなどによるこどもの運動機会の増加、運動・スポーツの振興、民間・行政などが提供する運動プログラムの充実、仲間や指導者の充実、医療における運動指導の充実などが含まれます。運動場所や運動機会を広く周知することも重要です。
適度な身体活動は健やかな人生のために不可欠ですが、これまでの様々な取り組みにもかかわらず、国民の身体活動は減少傾向にあります。この背景には、身体活動を減少させる地域社会環境の変化があります。例えば、社会の自動車依存度が高まったこと、インターネットなどの普及により移動の機会が減少したことなどがあげられます。
問題の解決のためには個人の努力だけではなく、地域社会・職場・学校などの環境を変える必要があります。以下は環境整備の視点であり、いくつかの具体的な例を示すことで環境整備のアイディアを提供するものです。地域の実情に合った取り組みを行いましょう。
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、環境整備を以下の表のように整理しました。4つ全ての視点での取り組みが求められます。これらの取り組みを効果的に進めるためには、教育、都市計画、公共交通といった複数の領域との協働が必要です。
*ナッジ:「ひじで軽くつつく」という意味。行動経済学上、対象者に選択の余地を残しながらも、よりよい方向に誘導する手法
・通勤:自動車を用いないエコ通勤の取り組みが盛んです。
・通学:学校の統廃合や安全上の問題から、自家用車やスクールバスを用いた通学に切り替わる例がありますが、身体活動量は低下します。安全確保を図ったうえで、徒歩・自転車通学が維持できないかを考えましょう。スクールバスの駐車場を学校から少し離れた場所に設置するといった取り組みも実施されています。
環境整備には他領域との連携が欠かせません[2]。特に、教育・スポーツ、都市計画、都市交通、公園・緑地といった領域は重要です。視野を広くして他領域の政策に関心を持ち、お互いがメリットのある形で連携することで、身体活動に適した社会を形成していくことが求められています。
(最終更新日:2024年03月19日)