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「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:こども版

こどもを対象に、身体活動や運動に取り組むうえでの基本的な考え方、目安、具体例などを紹介しています。

※本シートは厚生労働省のホームページに掲載されています。

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1.推奨事項

  • 身体を動かす時間が少ないこどもには、何らかの身体活動を少しでも行うことを推奨する。
  • WHOの「身体活動および座位行動に関するガイドライン」[2]では、次のようなことが推奨されている。
    ・こどもは、中強度以上(3メッツ以上)の身体活動(主に有酸素性身体活動)を1日60分以上行う。
    ・高強度の有酸素性身体活動や、筋肉・骨を強化する身体活動を週3日以上行う。
    ・座りっぱなしの時間、特にスクリーンタイム(テレビ視聴やゲーム、スマートフォンの利用など)を減らす。
  • 激しすぎる運動やオーバーユース(使いすぎ)に注意する。

2.身体活動・座位行動

1.身体活動の健康効果

身体活動は、体力(全身持久力、筋力)、心血管代謝機能(血圧、脂質代謝、血糖値、インスリン抵抗性)、骨の健康、認知機能、メンタルヘルスを向上させるとともに肥満を改善するなどの効果があります。特に、中高強度の身体活動量の増加は、全身持久力および筋力の向上、心血管代謝機能および骨の健康と関連します。また、中高強度の身体活動は、認知機能やメンタルヘルスの向上に効果があります。さらに、身体活動は、健康的な体重管理に効果があります。また、これらの関係は、身体活動の種類や場面によって異なることが示されています。中高強度の有酸素性身体活動は全身持久力を向上させ、ジャンプなどの筋肉への負担が比較的大きい動きを伴う活動は筋力を高めることが示されています。具体的には、WHOの身体活動・座位行動ガイドラインでは、筋肉や骨を強化する活動を週3日以上実施することが推奨されています[2]


2.座位行動の健康への影響

こどもの座りすぎは、肥満症の増加や体力低下、社会的な行動への不適応、また睡眠時間の減少と関連しています。具体的には、長時間の座位行動は、体力および全身持久力の低さと関係していること、また長時間のスクリーンタイム(テレビ視聴やビデオゲーム利用等)は好ましくないメンタルヘルス、社会的な行動の悪化と関連していること、スクリーンタイムに費やす時間が長いことは、睡眠時間に悪影響を及ぼすことなどが報告されています[2]


3.具体例の説明

身体活動とは、安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する、骨格筋の収縮を伴う全ての活動のことです。テニスやサッカーなどのスポーツ、体育の授業やスポーツクラブでの運動など、健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施される活動である「運動」と、日常生活での通学や家事のお手伝いなどの「生活活動」を含みます。

有酸素性身体活動とは、酸素を使い体内の糖質・脂質をエネルギー源とする筋肉への負担が比較的軽い活動を指します。

座位行動とは、「座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動」と定義されています。また、スクリーンタイムとは、「テレビやDVDを観ることや、テレビゲーム、スマートフォンの利用など、スクリーンの前で過ごす時間」のことを指します。

メッツとは、身体活動の強度を表し、安静座位時を1メッツとし、その何倍のエネルギーを消費するかという指標です。3メッツの強度の身体活動は、少し息が上がるくらいの強度です。中強度とは3~5.9メッツ、高強度とは6メッツ以上の強度のことです。

(最終更新日:2024年2月22日)

石井 香織

石井 香織 いしい かおり

早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授

東京医科大学大学院公衆衛生学講座修了。博士(医学)。専門は健康教育学、発育発達学。現所属助手、助教、准教授を経て2017年より現職。主に、子どもの健康増進を目的とした身体活動を推進するための研究に従事。

岡 浩一朗

岡 浩一朗 おか こういちろう

早稲田大学 スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授

早稲田大学大学院人間科学研究科修了。博士(人間科学)。早稲田大学スポーツ科学部助手、日本学術振興会特別研究員PD、東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)介護予防緊急対策室主任を経て、2006年に早稲田大学スポーツ科学学術院准教授として着任。2012年より現職。身体活動不足・座りすぎの解消に関する研究に従事。

参考文献

  1. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.
    https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
  2. World Health Organization. Guidelines on physical activity and sedentary behaviour. 2020.
    (日本語訳:https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/pdf/WHO_undo_guideline2020.pdf