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若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題

多くの若い女性が持つ「やせ願望」やダイエット指向。実はその多くの者がやせる必要がないのに、偏った食生活を送ったり極端なダイエットを繰り返しています。若い女性の「やせ」は多くの健康問題のリスクを高め、さらに若い女性や妊婦の低栄養問題は「次世代の子ども」の生活習慣病のリスクを高めると危惧されています。

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若い女性で「やせ」が多いことは厚生労働省が毎年全国レベルで実施している国民健康・栄養調査で示されています。平成29年(2017年)に行われた調査によると、肥満度(BMI)が18.5未満の「やせ(低体重)」が20歳代女性では21.7%、30歳代では13.4%、40歳代では10.6%でした。20歳以上の女性全体でみたやせの者の割合には、ここ10年は大きな増減はないものの、20歳代女性のやせの者の割合は、健康日本21(第二次)の目標値20%を上回っており、目標達成には至っていません[1]

女性の「やせ」の問題が改善しない背景には、適切な体形についての認識不足や、「やせているほうがいい」という価値観の普及、氾濫した様々なダイエット法など種々の因子が影響を及ぼしていると考えられています。そして誤ったダイエットなどによる偏った食生活は、鉄欠乏など潜在的な栄養不良のリスクを高めます。

鉄欠乏やそれに伴う貧血は、だるい・疲れやすいといった自覚症状や発育障害などをもたらします。鉄欠乏を防ぐには鉄を豊富に含む赤身の肉や魚、ほうれん草などの緑葉野菜をしっかり食べ、その吸収を高めるビタミンCなどを含む果物なども組み合わせて、バランスの良い食生活を送ることが大切です。月経のある20~40歳代の女性では、鉄は1日に10.5mgとると不足のリスクが少なくなると考えられていますが、実際には多くの女性で不足していることが指摘されています。無理なダイエットや偏った食生活は、鉄以外にも健康を維持する上で大切な栄養素の不足を招きます。また「食べない」といった無理なダイエットを繰り返すと、エネルギーを体脂肪として蓄えやすい体質になります。

さらに「やせ願望」が深刻化すると、「神経性食欲不振症(拒食症)」や「過食症」を招く恐れがあります。いずれも摂食障害ですが、前者は太ることを恐れて食物を避けるために極端なやせを伴います。多くは思春期から青年期早期にかけて発症すると考えられています。後者は週に数回・数ヶ月間にわたる過食と、体重増加を防ぐための不適切な代償行動(嘔吐、下剤の使用など)の両方が存在し、拒食症よりは発症が遅い傾向があります。

摂食障害が慢性化すると、無月経や低血圧・不整脈など多くの健康障害を招く恐れがあります。摂食障害の要因には、強い「やせ願望」以外にも不安やストレスなど精神的な要因もあります。まずは適切な体重を理解し、誤った「やせ願望」を持たないようにしましょう。また食べること以外に、体を動かしたり趣味など持ってストレスを解消してみましょう。

さらに、日本では低出生体重児(2,500g未満)の割合が増えていますが、その背景の一つに若い女性のやせや妊娠中の体重増加不足があるといわれています。小さく生まれてきた子どもは、エネルギーを溜めこみやすい体質であるため、成人後に生活習慣病高血圧糖尿病など)にかかりやすいと考えられています。そのため、妊娠に気づいてからではなく、妊娠する前からの適切な食生活が、自身の健康の維持・増進と、将来生まれてくる子どもの健康にとって大切であることを理解し、適正体重の維持とバランスのとれた食生活の確立を目指しましょう。

(最終更新日:2019年3月4日)

女子栄養大学 栄養学部 食生態学研究室 准教授 林 芙美

参考文献

  1. 厚生労働省
    平成29年国民健康・栄養調査 結果の概要
    https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189_00001.html