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健康日本21におけるアルコール対策

健康日本21とは、「21世紀における国民健康づくり運動」のことです。国は、基本となる方針や理念、具体的な目標を定め、継続的に調査及び分析を行い、結果をフィードバックしています。この中には、飲酒(アルコール)に関する目標が設定されており、目標達成のため、飲酒に関する正しい知識の普及啓発や未成年者の飲酒防止対策等に取り組んでいます。

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1. 健康日本21と飲酒

飲酒は、生活習慣病をはじめとする様々な身体疾患やうつ病等の健康障害のリスク要因となっています。また、未成年者の飲酒や飲酒運転事故等の社会的な問題の要因となり得ます。そこで、国は健康日本21において飲酒(アルコール)の目標を定め、目標達成に向けて、飲酒に関する正しい知識の普及啓発や、未成年者の飲酒防止対策等に取り組んでいます。アルコールについて達成されるべき目標は、次のとおりです。

・2010年の基準値に比べて2022年までに生活習慣病のリスクを高める量(純アルコール換算で男性40g/日以上、女性20g/日以上)を飲酒している者の割合を15%削減すること

・未成年者と妊娠中の飲酒を2022年までにゼロにすること

2. 健康日本21《第1次》の結果

1. 多量に飲酒する人の減少
(多量に飲酒する人=1日平均純アルコール約60gを超えて摂取する人)
運動開始時 目標値 最終評価時
男性 4.1% 3.2%以下 4.8%
女性 0.3% 0.2%以下 0.4%

(男女ともに改善させることはできなかった)

2. 未成年者の飲酒をなくす
(月1回以上飲酒をする者の割合)
運動開始時 目標値 最終評価時
男性(中学3年生) 26.0% 0% 8.0%
男性(高校3年生) 53.1% 0% 21.0%
女性(中学3年生) 16.9% 0% 9.1%
女性(高校3年生) 36.1% 0% 18.5%

(目標値には達しなかったものの、いずれの対象も有意に大幅改善した)

3. 「節度のある適度な飲酒」の知識の普及
(節度ある適度な飲酒:1日平均純アルコールで約20g程度の飲酒)
運動開始時 目標値 最終評価時
男性 50.3% 100% 54.7%
女性 47.3% 100% 48.6%

(一層の啓発活動が必要である)

3. 健康日本21《第2次》の目標

2013年度から開始された健康日本21《第2次》では、地域による健康格差の縮小や飲酒を含めた生活習慣の改善が目標となりました。《第2次》における飲酒の目標は下記のとおりです。

1. 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少
(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)
2010年 2022年の目標値
男性(20歳以上) 15.3% 13.0%
女性(20歳以上) 7.5% 6.4%

がん・高血圧脳出血脂質異常症などの飲酒に関連する多くの健康問題の危険性は、1日平均飲酒量とともにほぼ直線的に上昇することがわかっており、生活習慣病を防ぐためには飲酒量は低ければ低いほどよいことになります。

一方で全ての要因による死亡率、脳梗塞及び虚血性心疾患については、飲酒量との関係がほぼ直線的に上昇するとは言えません。しかし、その場合でも男性では44g/日(日本酒2合/日)程度以上の飲酒(純アルコール摂取)、女性では22g/日(日本酒1合/日)程度以上の飲酒で、非飲酒者や機会飲酒者(たまにしか酒を飲まない者)に比べて危険性が高くなります。摂取量の目安としてのわかりやすさを考慮して、本指標を設定しました。

2. 未成年者の飲酒をなくす
(調査前30日間に1回でも飲酒した者の割合)
2010年 2022年の目標値
男性(中学3年生) 10.5% 0%
男性(高校3年生) 21.7% 0%
女性(中学3年生) 11.7% 0%
女性(高校3年生) 19.9% 0%

未成年者の飲酒は、体内に入ったアルコールが身体の発達に悪影響を及ぼし、健全な成長を妨げます。また、臓器の機能が未完成であるためにアルコールの分解能力が成人に比べて低くアルコールの影響を受けやすいことなどからも、好ましくありません。このような健康問題のみならず、未成年者の飲酒は事件や事故に巻き込まれやすくなるなど、社会的な問題をも引き起こします。もちろん法的にも禁じられている行為です。

3. 妊娠中の飲酒をなくす
2010年 2022年の目標値
8.7% 0%

妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール・スペクトラム障害や発育障害を引き起こすため、妊娠中あるいは妊娠しようとしている女性はアルコールを断つことが求められます。
なお、授乳中も血中のアルコールが母乳にも移行するため飲酒を控えるべきです。

4. 健康日本21《第2次》の中間報告結果と今後の課題

2021年にとりまとめられた健康日本21《第2次》の中間報告では、飲酒に関して、次のような評価を出しています。

改善している指標

•未成年者の飲酒をなくす(図1〜2)

•妊娠中の飲酒をなくす(図3)

 

改善がみられていない指標

•生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少(図4)

 

図1. 調査前30日間に1回でも飲酒した者の割合(中学3年生、男子・女子)

調査前30日間に1回でも飲酒した者の割合(中学3年生、男子・女子)

図2. 調査前30日間に1回でも飲酒した者の割合(高校3年生、男子・女子)

調査前30日間に1回でも飲酒した者の割合(高校3年生、男子・女子)

図3. 妊娠中に飲酒している者の割合

妊娠中に飲酒している者の割合

図4. 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合(男性・女性)

生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合(男性・女性)

 

この結果を踏まえ、今後の課題や対策としての提言がなされています。(詳細は健康日本21《第二次》中間評価報告書を参照)

  • 国のアルコール健康障害対策推進基本計画に基づく対策の確実な実施。
  • 各都道府県のアルコール健康障害対策推進計画の早期策定、実施の推進。
  • ブリーフインターベンション(減酒支援)の推進。
  • 上記の対策等による、がん罹患者や死亡者の減少への取り組み。
  • 国など関係機関が連携・協力しながら飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を推進。

5. おわりに

飲酒は、飲酒者本人の健康問題だけでなく、家庭内暴力等の家族への影響、飲酒運転等の社会的問題など、幅広い問題につながる可能性があります。このような様々な問題にも目を配りながら、国民健康づくり対策としての健康日本21《第2次》を推進していくことが私たちに求められています。

(最終更新日:2021年12月21日)

松﨑 尊信

松﨑 尊信 まつざき たかのぶ

独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター 精神科医長

2000年九州大学医学部卒。同年同精神科教室に入局、同附属病院にて臨床研修、2010年九州大学大学院にて博士号(医学)。2013年厚生労働省精神・障害保健課依存症対策専門官、2016年より久里浜医療センター勤務。2017年厚生労働省健康課参与(併任)。
精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医、日本医師会認定産業医。

参考文献

  1. 健康日本21(第二次)
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkounippon21.html