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飲酒と事故

飲酒・酩酊により「交通事故」「転倒・転落」「溺水」「凍死」「吐物吸引」などの様々な事故が引き起こされます。飲酒に関連した事故を防止するためには、その原因となっている飲酒を控えることがなにより大切です。また飲酒事故の背景にアルコール乱用やアルコール依存症が存在する場合には、それらに対する適切な治療が必要です。

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飲酒・酩酊時には身体運動機能や認知機能が低下するうえ、理性の働きも抑えられてしまいます。そのため飲酒により「交通事故」「転倒・転落」「溺水」「凍死」「吐物吸引」などの様々な事故が引き起こされます。老若男女を問わず一度でも飲酒・酩酊をすればこのような事故を起こす可能性があり、またその被害者となることもあるため、大変身近で重要な問題です。

いろいろな飲酒事故

1. 飲酒運転による交通事故

近年、飲酒運転による重大な死傷事件が後を絶えず、社会的な問題となっています。そのため悪質な危険運転を防止するための法的な対策として、2001年に危険運転致死傷罪が制定され、2002年6月からは酒気帯び運転の基準引き下げと行政処分の強化を内容とする道路交通法改正が施行されました。そして2007年6月には自動車運転過失致死傷罪を規定した刑法改正が行なわれ、さらに2007年9月から飲酒運転等の罰則が強化されました。

これらの法的対策の甲斐あって、警察庁の資料によると原付以上運転者(第1当事者)の飲酒運転による年間交通事故件数は、2000年の26,280件をピークに減少に転じ、2007年には7,558件とピーク時の3割以下に減少しています。その一方で飲酒による悪質運転は絶えず、死亡事故率を飲酒有無別にみると、飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしの9.4倍であり、酒酔い運転に至っては34.4倍と高く、飲酒運転による交通事故が死亡事故につながる危険性の高いことが示されています。

しかしこのような状況においても、事故や違反を繰り返す常習飲酒運転者が存在することも指摘されています。さらに久里浜アルコール症センターと神奈川県警察との共同研究から、飲酒運転検挙経験者の半数以上が多量飲酒者であり、アルコール依存症者の割合も一般人口に比べて非常に高いことがわかっています。

2. 酩酊による交通事故(歩行者)

平成19年(2007年)の歩行中の交通事故死傷者数は75,549名で、そのうち酩酊等によるものは640名です。一方で同年の交通事故死者数は歩行者全体では1,943名で、そのうち酩酊等によるものは151名です。このことから酩酊歩行は死亡事故につながりやすく、大変危険であることがわかります。

3. 転倒・転落

酩酊により足元がふらつき、注意力が散漫になるほか、意識障害が出現することもあるため、転倒や転落が起こりやすくなります。また転倒時には身体を防御するような反射的な運動が遅れ、頭部外傷などの重傷な外傷が起きやすくなります。さらに階段や電車のホームなどから転落し、死亡する事例も多くみられます。

4. 溺水

飲酒後に入浴し溺水する事例が多く、公衆浴場や川・海での溺水もみられます。飲酒が溺水の危険性を高めることが指摘されています。

5. 凍死

アルコールには末梢血管拡張作用があるため、飲酒をすると体表の血流が増加します。従って飲酒後に寒い所に長時間いると血液が冷やされて低体温になりやすく、屋外で眠り込んでしまい凍死する事例が多数みられます。

6. 吐物吸引

酩酊状態のため嘔吐の際に吐物を吸引して窒息する事例も多く、酩酊者への適切なケアが必要とされます。

終わりに

飲酒によって引き起こされる様々な事故を防止するためには、その原因となっている飲酒を控えることがなにより大切です。飲酒事故はアルコール関連問題のひとつであり、アルコール乱用やアルコール依存症が背景にある場合には、それらに対する適切な治療が必要です。

参考文献

  1. 警察庁交通局
    平成19年中の交通事故の発生状況
  2. 警察庁交通局
    平成19年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について
  3. 中山寿一, 樋口進, 神奈川県警察本部交通部交通総務課.
    飲酒と運転に関する調査: 久里浜アルコール症センターと神奈川県警察との共同研究, 最終報告書.