飲酒・酩酊により「交通事故」「転倒・転落」「溺水」「凍死」「吐物吸引による窒息」などの様々な事故が引き起こされます。飲酒に関連した事故を防止するためには、飲酒行動自体への取り組みが必要です。また飲酒事故の背景にアルコール乱用やアルコール依存症が存在する場合には、治療が必要となってきます。
日本では、戦後の経済成長もあり近年まで飲酒量が増加し、それに伴い様々な飲酒問題が生じてきました。男性は高齢化もあり近年、飲酒量は減ってきましたが、その一方で、女性はリスクのある飲酒者の増加、専門医療を受療する問題飲酒者の割合の少なさ、内科等に潜在する問題飲酒者等の問題があり、今後の課題となっています。
女性の飲酒は近年一般的になってきましたが、①血中アルコール濃度が高くなりやすい、②乳がんや胎児性アルコール症候群などの女性特有の疾患のリスクを増大させる、③早期に肝硬変やアルコール依存症になりやすいなど、特有の飲酒リスクがあります。
若者の飲酒は、急性アルコール中毒やアルコール依存症等のリスクが高く、事件・事故の関連も深いという特徴があります。若者のアルコール関連問題の対策としては、飲酒禁止年齢を用いた対策が効果的です。
妊娠中の母親の飲酒は、胎児・乳児に対し、低体重や、顔面を中心とする形態異常、脳障害などを引き起こす可能性があり、胎児性アルコール・スペクトラム障害といわれます。胎児性アルコール・スペクトラム障害には治療法はなく、唯一の対策は予防です。また少量の飲酒でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒をやめるようにしましょう。
開示すべきCOIはありません。