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高尿酸血症

高尿酸血症とは、血液中の尿酸が高い状態のことです。痛風や尿路結石、腎障害の原因となるほか、高尿酸血症がある人では、肥満や高血圧、脂質異常症、高血糖を複合的に合併することが多くなっています。また、脳卒中や心臓病などになりやすくなります。

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高尿酸血症とは

血液中の尿酸が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます[1]

尿酸が高いだけでは、自覚症状はありませんが、進行していくと、結晶となった尿酸が関節・足先や耳たぶなどにたまります。そしてその部分に炎症が起こり、激痛の痛風発作が起こります。また腎臓にたまって結石ができると背中に痛みが生じ、尿管や膀胱に移行するとその部分で炎症を起こし、激痛を生じます。尿管で起こった場合は尿管結石、膀胱で起こった場合は膀胱結石といい、これらを合わせて尿路結石と言います。症状がない場合であっても、尿酸が高い状態が持続すると脳卒中、心臓病などの循環器病に至る場合もあります。

高尿酸血症や痛風・尿路結石は、男性に圧倒的に多い病気です。女性は女性ホルモンによって尿酸値がコントロールされるため、男性に比べれば少ないですが、女性ホルモンの分泌が低下する閉経後はやや増加します[2]

高尿酸血症の予防

予防には、主に以下が有効です[1]

  • 食事中のプリン体の摂取が多い人はそれらを控える。プリン体は、白子類、レバー類、干物(マイワシ・マアジ・サンマ)などに多く、肉・魚全般にも中程度含まれる。
  • 野菜、果物、豆類、全粒穀類などをバランスよく摂取する。
  • 尿路結石予防のために水分を多くとる。
  • すべての種類のアルコールの量を減らし、特にビールは控える。
  • 甘い飲み物やジュースを控える。
  • 脈が少し速くなる程度の有酸素性運動を行う(少なくとも10分以上の運動を合計1日30分以上または60分程度が最適)。
  • 肥満がある人は、食事の見直しと運動で肥満を解消する。

なお、過度な運動や無酸素性運動を行うと、尿酸が産生されやすくなり、尿酸値が上昇しますので、尿酸がすでに高い人の場合は、ウォーキング程度の軽い有酸素性運動にとどめる必要があります[1]。またよく「焼酎ならば大丈夫」と考える人がいますが、アルコール自体に尿酸を高くする働きがありますので、すべての種類のアルコール類を控えることが大切です。

(最終更新日:2024年7月5日)

山岸 良匡

山岸 良匡 やまぎし かずまさ

順天堂大学大学院医学研究科 公衆衛生学 教授

茨城県出身。2000年筑波大学医学専門学群(現・医学類)卒業、03年筑波大学大学院博士課程修了。医師、博士(医学)、社会医学系専門医・指導医。筑波大学講師、准教授、ミネソタ大学客員講師などを経て、19年より筑波大学医学医療系社会健康医学教授。2024年より現職。循環器疾患などの生活習慣病の予防実践と疫学研究が専門。

参考文献

  1. 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会.高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版[2022年追補版].診断と治療社, 2022.
  2. Teramura S, Sankai T, Yamagishi K, et al. Changes in cardiovascular disease risk factors during menopausal transition in Japanese women: the Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS). Menopause. 2023;30(1):88-94.