血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のこと。生体内ではエネルギー源としてのブドウ糖の供給と消費が繰り返されており、血糖値はある一定のレベルに維持されている。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。ブドウ糖は体内でエネルギー源として利用されています。ブドウ糖の原料は食物中の炭水化物などですが、炭水化物は消化管でブドウ糖に分解・吸収され血液によって全身に運ばれます。
食事を摂り血糖値が上昇すると、膵(すい)臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンの働きにより、ブドウ糖は身体の細胞に取り込まれ、そこでエネルギー源として使われます。ブドウ糖が過剰に存在する場合は、ブドウ糖からグリコーゲンが合成され、肝臓や筋肉に蓄えられます。そして、必要になると、膵臓から分泌される「グルカゴン」などのホルモンの働きにより、グリコーゲンをブドウ糖に分解してエネルギーとして使います。
このように、生体内ではブドウ糖の供給と消費が繰り返されており、血糖値はある一定のレベルに維持されています。健常者では空腹時血糖値は70-110 mg / dL程度といわれています。特定健診では、絶食10時間以上の空腹時血糖値を判定するのが原則ですが、食後3.5時間以上10時間未満の随時血糖値も同等に判定します。
血糖値が必要以上に低くなることを低血糖と呼びます。血糖値が下がると、血糖を上げようとするホルモンが分泌されますが、このホルモンの作用でふるえや動悸の症状が起こります。特に脳細胞はエネルギーを主にブドウ糖から得ているため、著しい低血糖になると昏睡に陥ります。一方、血糖値が必要以上に高い状態を高血糖と呼びます。糖尿病とは慢性的に高血糖が続く病気です。インスリンの作用不足でブドウ糖をエネルギー源としてうまく利用できないと糖尿病になります。高血糖が長く続くと全身の様々な臓器が障害されます。特に、神経と血管は障害を受けやすく、神経障害や網膜症、腎障害を、そして動脈硬化による脳卒中や虚血性心疾患を発症する危険が高まります。
【日本糖尿病学会監修】
(最終更新日:2024年8月26日)