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唾液分泌(だえきぶんぴつ)

耳下腺、顎下腺、舌下腺の左右3対といくつかの小唾液腺から分泌されている。

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唾液は健康な成人で一日1.0~1.5リットル分泌されると言われています。しかし個人差も多く、季節・年齢・性別・身体状況・服用薬剤などによって変動します。唾液分泌には、刺激などなくても分泌される安静時唾液と食事などの刺激により分泌される刺激唾液があり、常に口腔内を湿潤しています。唾液には粘膜保護・自浄・水分平衡・潤滑・緩衝・抗菌・消化・組織修復・再石灰化・発ガン予防などの作用もあり、口腔のみならず身体が正常な機能を発揮するため無くてはなりません。

疾病などにより唾液分泌が低下すると嚥下障害・咀嚼障害・発音障害・味覚障害などがおこります。さらに口腔乾燥(dry mouth)や唾液分泌低下により自浄作用が低下すると、口腔内に食物残渣などが長期間残留するため、う蝕歯周疾患が非常に発症しやすくなります。粘膜保護作用も低下するため舌や粘膜の障害・義歯の不適合・舌苔の増加・味覚異常・嚥下障害なども起こりやすくなります。

なかでも要介護高齢者では同様の理由によりグラム陰性桿菌の残留による不顕性肺炎を誘発するなど全身へも影響が波及します。唾液分泌の低下は不安・緊張・シェーグレン症候群・唾液腺障害・脱水・肝硬変・糖尿病などや服用薬剤(抗精神薬や降圧剤など)の副作用としておこります。

大量飲酒により糖尿病や肝硬変などの合併症に罹るとその病状から唾液分泌が低下します。また、アルコールの利尿作用や食事量・水分量の不足により脱水が起こり、同様に唾液分泌が低下します。そのため口腔環境が悪化する恐れがあります。