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歯・口の機能

口腔(こうくう)には、食べる機能や、会話をしてコミュニケーションを取る機能などがあります。食べるためには、歯で食物を咬み、飲み込む(嚥下)という一連の動作が必要です。会話をする際、口は発音に関わるとともに、表情を作ります。また、きれいな歯や歯肉、整った歯並びは、美しさ(審美性)を保ちます。

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口腔(こうくう)には、食べる機能(咀嚼)があり、食べることで、唾液と食物は混じり、味を感じることができます。また、口から声を発し、会話をして、ヒトはコミュニケーションを取ることができます。

1. 咀嚼

歯で食物を咬み、飲み込む(嚥下)という一連の動作を咀嚼(そしゃく)といいます。食物や飲み物は、口唇・舌・頬の協調的な動きにより口に入り、細かくされ、飲み込むことで消化管に運ばれます。時にストローなども口にくわえ、吸い込むこともあります。
口腔内で食物が紛砕されることで食物は嚥下しやすく、消化も容易になります。また、咬むことにより、成長期には、顎の骨や顎の周囲の筋肉の発育を刺激します。

2. 味覚

味覚(みかく)は、動物の五感の一つで、ヒトの場合は、おもに舌上面の舌乳頭にある味蕾で受容された味覚情報が脳に伝えられます。基本味として、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが位置づけられています。食物の美味しさを決定する要因には、味以外にも、臭い・歯触り・舌触り・温度・色・体調などがあります。基本味が他の要素(嗅覚、視覚、記憶など)で拡張され、感覚としての味は、風味(ふうみ、flavour)と呼ばれることが多く、また、その認識の過程を「味わう」と表現します。

3. 唾液

唾液には、以下のような機能があります。

1. 咀嚼・嚥下の補助作用
唾液中のムチンなどにより唾液には強い粘性があり、食物を湿らし、食物を塊にしやすくして咀嚼と嚥下をしやすくする効果があります。
2. 溶媒作用
唾液は、食物中の味物質が唾液中に溶けて味蕾の受容体(レセプター)と反応するのを助けます。
3. 洗浄作用
食物中の繊維物質を咬むことで、口腔内は機械的に清掃されます(自浄)。
4. 化学的消化作用
唾液中のα―アミラーゼがデンプンを麦芽糖に分解します。
5. 歯や粘膜の保護作用
歯の表面はペリクルと呼ばれる唾液タンパクに覆われており、磨耗したり脱灰することから守られます。口腔粘膜も唾液タンパクに覆われることにより、感染や機械的な損傷から守られています。
6. 緩衝作用
唾液中の炭酸・重炭酸・リン酸などは、急激な酸性やアルカリ性に変化しないよう中和し、歯垢のpHが酸性に傾き脱灰するのを抑えます。
7. 抗菌作用
唾液中には、細菌の活動を抑える様々な物質(リゾチーム、ペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、ラクトフェリンなど)が含まれます。
8. 歯の再石灰化作用
唾液中のカルシウムイオン、リン酸イオン、フッ素イオンは、脱灰された歯質の再石灰化を促進します。
9. 発がん性 ・変異原生抑制作用
唾液中にはベンゾピレンなどの発がん性・変異原生を抑制する作用があります。

4. 発音と発語

ヒトは、会話をすることによりコミュニケーションをとっています。言葉は、声と口元や顔の表情とともに発せられます(発語)。声は、声帯が振動し音が発せられ、歯・顎・骨・口唇・舌の形態や機能により作られます。母音は、呼気の通過が遮られることなく発音できるもので、声帯の振動によって起こります。子音は呼気の通過が口唇、舌、歯などで遮られたり、通路が狭められて発声する音です。それぞれの形態や機能に異常があると発音障害(構音障害)となります。
また、時には、口を使って歌を歌ったり、楽器を演奏したりします。そのような機能をつかい他とのコミュニケーションをはかります。 また、清掃の行き届いたきれいな歯や歯肉、整った歯並びは、美しさ(審美性)に関わり、コミュニケーションの過程で重要な役割を果たします。

鶴見大学 歯学部 探索歯学講座 野村 義明

北里大学 医学部 衛生学公衆衛生学 星 佳芳

参考文献

  1. 米満正美, 小林清吾, 宮崎秀夫, 川口陽子.
    新予防歯科学[上]第3版
    医歯薬出版株式会社, 2003.