歯に付着した細菌が繁殖したかたまり。
う蝕や歯周病の原因となるため、ブラッシングで取り除くことが口腔ケアの基本となる。
プラークとは、食べものの残りカスが歯の表面につき細菌が繁殖したもので、白くねばねばしています。食後8時間程度でプラークができるといわれ、プラーク1mgのなかには、およそ300種類1億個ものの細菌が存在しています。
食後、口の中はミュータンス菌(むし歯菌)や乳酸菌などのはたらきで酸性になり、歯のカルシウムを溶かし始めます。歯のカルシウムが溶け出ることを脱灰といいます。
ごく表面だけ脱灰が起こった場合や短時間だけ脱灰が起きたときには、プラークがすぐに取り除かれれば、歯は再石灰化し自然に修復することもありますが、プラークが長期間ついたままであったり、歯の奥深くまで脱灰が進んだ場合には、この自然修復作用が妨げられます。このように歯の脱灰が元に戻らないところまで進んでしまい、歯に穴を開け始めた状態がう蝕(むし歯)です。とくに砂糖の摂取はプラークの形成と酸の産生をより促進させ、むし歯のできやすい状態を作ります。
口を開けたときに見える歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目にもプラークはたまります。プラークの細菌は、歯根に添って歯ぐきの奥深くまで繁殖していきます。細菌の作り出す毒素によって、歯を支えている骨(歯槽骨)がダメージを受けて、溶けてなくなっていくのが歯周病です。
またプラークは口臭の原因になることもあります。プラークに含まれる細菌が、硫化水素(温泉のガスのような臭い)やメチルメルカプタンといった臭いの強いガスを作ります。またむし歯やその周囲の食べかす、歯周病が進行したときに歯周ポケットから出る膿みも嫌な臭いを発するため、口臭の原因となると考えられています。
口の中にプラークをなるべく残さないためには、毎日の歯磨きが重要です。プラークは粘着力があり、水に溶けないので、うがいではとることができません。歯ブラシでブラッシングするのが基本ですが、歯と歯の間の汚れは歯ブラシでは半分程度にしか落とすことができません。デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシという専用ブラシで磨くことがすすめられます。