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各種統計からみる歯科疾患の重み

歯科医療費は高血圧や脳血管疾患よりも高額です。歯科疾患の通院率は他の疾患と比較して高い値を示しています。歯や口の自覚症状を持っている国民は約4割います。

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歯科疾患は有病率が非常に高く、多くの人にとって「身に覚えのある疾患」である点が大きな特徴です。ここでは国の各種統計データからみた歯科疾患の「重み」について解説します。

歯科医療費について

平成29(2017)年度の国民医療費統計によると、歯科診療医療費は2兆9003億円で、国民医療費全体(約43.07兆円)の6.7%を占めています。【図1】は歯科疾患と他の代表的生活習慣病の医療費を比較し、その年齢階級別内訳を示したものです。歯科医療費(2.90兆円)は、第1位の悪性新生物(3.82兆円)に次いで二番目に位置しています。また年齢階級別にみますと、歯科疾患では高齢者以外の割合が高いという特徴があります。

図1.歯科疾患と主要慢性疾患の医療費の比較(国民医療費の概要、2017年度)[1][2]

歯科疾患と主要慢性疾患の医療費の比較

通院率について

【図2】は平成28(2016)年国民生活基礎調査において、各傷病別に通院率(調査実施日に通院しているか否か)を比較し、そのトップ5をグラフ化して男女別に示したものです。歯科疾患(歯の病気)は、男性・女性ともに3位と高い通院率を示していることがわかります。

図2.性別にみた通院者率の上位5傷病(国民生活基礎調査、2016年、複数回答)[3]

性別にみた通院者率の上位5傷病

歯や口に関する自覚症状は?

歯や口の自覚症状を有する割合は、平成28(2016)年歯科疾患実態調査で調査され、全体の約4割が何らかの自覚症状を有していました。各自覚症状の割合を年齢階級別にみますと【図3】、青壮年~中年期(25~64歳)には「歯が痛い、しみる」・「歯ぐきが痛い、はれている、出血がある」が多いこと、高年齢ほど「かめないものがある」・「口がかわく」が多いことなどがわかります。

図3.歯や口の状態について気になることがある割合(歯科疾患実態調査、2016年、年齢階級別)[4]

歯や口の中の悩みや気になること(自覚症状)

(最終更新日:2020年1月16日)

安藤 雄一

安藤 雄一 あんどう ゆういち

国立保健医療科学院 生涯健康研究部 主任研究官

1983年新潟大学歯学部卒業。新潟大学歯学部予防歯科学講座医員、同助手、新潟大学歯学部附属病院講師、国立感染症研究所口腔科学部歯周病室長、国立保健医療科学院口腔保健部口腔保健情報室長、同生涯健康研究部上席主任研究官、同統括研究官を経て、2019年より現職。歯科口腔保健に関わる研究、人材育成、情報発信に努めている。

参考文献

  1. 厚生労働省.
    平成29年度 国民医療費の概況.
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/17/index.html
  2. 政府統計の総合窓口(e-Stat)
    平成29年度国民医療費、11表 歯科診療医療費・構成割合・人口一人当たり歯科診療医療費,年次・年齢階級別、13表 医科診療医療費,入院-入院外・年齢階級・傷病分類・年次別
  3. 厚生労働省.
    平成28年国民生活基礎調査の概況、結果の概要-Ⅲ 世帯員の健康状況-2.通院の状況.
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/04.pdf
  4. 厚生労働省.
    平成28年歯科疾患実態調査結果の概要.
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf