若者の飲酒は、急性アルコール中毒やアルコール依存症等のリスクが高く、事件・事故の関連も深いという特徴があります。若者のアルコール関連問題の対策としては、飲酒禁止年齢を用いた対策が効果的です。
若者の酒離れが言われるようになって久しいですが、実際にはどうなっているのでしょうか?
20歳未満の者の飲酒については、過去1カ月間に飲酒をした経験のある20歳未満の者は減少してきており(「健康日本21(第二次)におけるアルコール対策」参照)、改善傾向にあることが示されています。また、20代の習慣飲酒率でみても、男性では大きく減少(「わが国の飲酒パターンとアルコール関連問題の推移」参照)しているなど、若者の酒離れがデータとしても示されています。
アルコールは200以上の疾患と関連があるといわれていますが、その中でも若者の飲酒と最も関連の深い疾患として、急性アルコール中毒と、アルコール依存症があります。
急性アルコール中毒は、血中アルコール濃度の上昇によって運動失調や嘔吐を伴った意識障害が起こり、身体生命に危険が迫った状態を指します。急性アルコール中毒に関する調査としては、東京消防庁による急性アルコール中毒救急搬送者数調査があります。令和4(2022)年の調査では、都内の急性アルコール中毒搬送者のうち51.5%を、10代と20代の若者が占めています[1]。
若者に急性アルコール中毒が多い理由としては、(1)脳がお酒に慣れていない、(2)危険な飲み方を好むなどが考えられています。1990年代以降、大学等でも問題とされるようになり、一気飲み防止の取り組みも広く行われています。
アルコール依存症は、長年の不適切な飲酒習慣が関係する、基本的には中高年の病気ですが、これにも青年期の飲酒が深く関わっています。15歳以下からお酒を飲み始めた場合、21歳以上からお酒を飲み始めた場合と比べ、3倍以上アルコール依存症になる確率が上がるという米国の報告や[2]、日本での初飲年齢とその後の問題飲酒との関係を示す報告等[3]、若年者の飲酒と問題飲酒の関連は広く示されています。
また若年アルコール依存症を対象とした調査では、約1年後(平均13.8カ月後)の断酒率は15.2%であり、一般的な断酒率の半分程度の値となっています。同期間内の死亡率も9.2%に上っており[4]、中高年と比較しても極端に悪い予後となっています。
若者の飲酒の大きな問題として、事件・事故につながりやすいということもあります。20歳未満の者を主な対象とした若年者の飲酒と死亡率の調査では、若年期の飲酒量に比例して右肩上がりで死亡率が上昇することが報告されています【図】[5]。
また、若いうちから積極的に飲酒することは、飲酒量の増大、アルコール依存症等のリスクを増大させ、飲酒問題が生じたときの予後も悪いという様々な問題を生じさせます。さらに脳の萎縮や第二次性徴の遅れ等、多くの領域でアルコール多量飲酒による若者の健康への悪影響がみられます。
若者の飲酒問題に対しては各国で様々な対策が行われていますが、決定的なものはありません。ただ、飲酒禁止年齢を用いた対策については、広くコンセンサスが得られており、アメリカ合衆国では各州によって異なっていた飲酒禁止年齢を引き上げて統一したことで若者の死亡事故が減少しています[6]。世界保健機構(WHO)でも報告書の中で、酒類購入可能年齢の引き上げは若者のアルコール関連問題、特に飲酒運転事故の減少につながるとしています[7]。
日本でも健康日本21(第三次)の中でも、引き続き20歳未満の者の飲酒をゼロにすることが目標として掲げられているように、20歳未満の者の飲酒防止は飲酒問題対策の大きな柱となっています(「健康日本21(第二次)におけるアルコール対策」参照)。
(最終更新日:2025年1月7日)