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アルコールと依存

アルコールは依存性のある薬物の一種です。飲酒を続け、耐性・精神依存・身体依存が形成され、飲酒のコントロールができなくなる状態がアルコール依存症です。アルコール依存症になると、身体・仕事・家族関係などの様々な問題が起きます。アルコール依存症は酔って問題を起こすこととは異なります。

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アルコールは、麻薬・覚せい剤・タバコ・睡眠薬などと同じく、依存性のある薬物の一種です。そして他の薬物と同じく、下記のようなプロセスを経て依存症という病気に至ります。

習慣的に飲酒していると、まず耐性が形成されます。耐性とは同じ量の飲酒でもあまり効かなくなってくることです。いわゆる「酒に強くなってきた」状態で、少量の飲酒ではあまり効果がなくなり、同じ効果を求めて徐々に酒量が増加していきます。
そして、精神依存という症状が現れます。精神依存とは簡単に言うと「酒が欲しくなる」ことです。酒がないと物足りなくなり飲みたいという欲求を感じるようになります。さらに精神依存が強くなると、酒が切れてしまうと家の中を探したり、わざわざ出かけて買いに行くような行動が現れます。

耐性・精神依存が形成され、長年ある程度の量の飲酒を習慣的に続けていると、しまいには身体依存が出現します。身体依存とは、文字通り酒が切れると身体の症状が出ることで、酒を止めたり減らしたりしたときに、離脱症状と呼ばれる症状が出現するようになります。代表的な離脱症状としては、不眠・発汗・手のふるえ・血圧の上昇・不安・いらいら感などがあり、重症の場合は幻覚が見えたり、けいれん発作を起こしたりすることもあります。酒を止めるとこのような症状が出現してしまうので、症状を止めるためにまた飲酒するという悪循環となり、ますます酒を止めることが難しくなります。

どこからがアルコール依存症で、どこまでが普通の酒飲みかという線引きは、はっきり出来るものではありません。しかしアルコールが依存性のある薬物の一種である以上、飲酒をしている人は誰でも依存症の回路がゆっくりと脳の中で作られていきます。つまり飲酒をしていれば、誰もが依存症になる可能性があるということです。アルコール依存症はゆっくりと進行していくため、依存が作られている途中では自分では気付きませんが、しまいには飲酒によって問題があるにもかかわらず、飲酒をコントロールできなくなります。そのコントロールできない状態がアルコール依存症なのです。

飲酒による問題は、様々な問題があります。まず肝臓や膵臓、脳・神経などの様々な臓器に悪影響を及ぼします。さらに仕事に影響がでることも大きな問題の一つです。飲酒のせいで遅刻や欠勤をした、頭が働かず仕事の効率が落ちた、朝に酒のにおいを指摘されたといった問題は飲酒の問題の代表的なものです。また家族との関係も悪化していきます。妻・夫・子供の信用を失い、関係がギクシャクし、その結果さらにストレスをためて酒に逃げるようになります。
うつ病などの精神的な影響、事故に巻き込まれやすくなるなど、飲酒による問題は様々なものがあります。そしてアルコール依存症になると、そのような問題があるとわかっていながら、自分では飲酒をコントロールできない状態になっており、酒を減らしたり止めたりできなくなっているのです。

アルコール依存症と、酔ったときに問題を起こすということとは異なります。それは「酒乱」であって、依存症とは違います。酔ったときにいくら問題を起こしたとしても、たまにしか飲酒しない人はアルコール依存症ではありません。逆に酔ったときに周りに迷惑をかけなくても、飲酒がコントロールできなければアルコール依存症といえます。むしろほとんどのアルコール依存症の人は、静かに酒を飲んでいるものです。

参考文献

  1. 真栄里仁, 樋口進.
    アルコール依存症診断における基礎事項.
    白倉克之, 丸山勝也(編)アルコール医療ケーススタディ, 新興医学出版社, pp.12-15, 2008.