平成29年度~令和元年度 厚生労働科学研究「健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及啓発」によって作成された運動プログラムが、リーフレットとしてまとめられています。
厚生労働省の「標準的な運動プログラム」は、生活習慣病の発症や重症化のリスクがある方を対象として、疾患(高血圧・糖尿病・高脂血症など)、年齢などを勘案した9つのプログラムに分かれています。
対象者ごとに、具体的な運動の種類(ウォーキング、水泳、筋トレなど)や量(速度・負荷量や運動時間)が示されており(※)、それぞれリーフレットとしてまとめられています。
(※)平成29年度~令和元年度 厚生労働科学研究「健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及啓発」により開発。
定期的に健診を受け、糖尿病や高血圧症、心血管疾患がない20-65歳までの方を対象としています。このプログラムに基づいた定期的な運動習慣をもつことで、以下の効果が得られます。
1.心肺機能が高まる
2.心血管系疾患、2型糖尿病、一部のがんを予防できる
3.脳の機能が高まる
身体活動量が多く、心肺持久力の高い人は、生命予後が長い(長生きである)ことが報告されています。筋力トレーニングは、筋量を増加し筋力を高めるだけでなく、心機能に好影響をもたらし、心血管系の予防にも寄与します。
成人を対象にした運動プログラムのポイントの多くは、高齢者にも当てはまります。
特に高齢者では、有酸素運動・筋力トレーニングに、バランス運動も加えたマルチコンポーネント運動が効果的で、すべての高齢者に推奨されます。
定期的に有酸素運動を行うことで、高血圧患者の収縮期血圧は3-5mmHg、拡張期血圧は2-3mmHg下がることが期待されます。筋力トレーニング単独では明らかな降圧効果は期待できませんが、有酸素運動と併用することで将来のフレイル・サルコペニア(著しい筋量減少)を予防できます。
2型糖尿病の運動療法は、インスリンの効き目を改善し、血糖コントロールを安定化します。
また、心血管系疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)の発症を予防します。
適切な運動療法は、慢性虚血性心疾患患者にとってカテーテル治療や薬物療法に勝るとも劣らない治療法であり、 再発や再入院を予防する効果が期待できます。
昔は、腎機能が低下すると運動制限が当たり前でしたが、最近になって、運動に心血管系疾患の予防や体力を高める利点があることが明らかになり、腎臓病の人にも積極的に運動が勧められるようになってきました。筋量が維持されている腎臓病患者は、そうでない患者に比べて長生きであることが報告されており、筋力トレーニングがとても重要です。
肥満症やメタボリックシンドロームでは、減量の程度が高血圧・糖尿病・脂質異常症などの改善にかかわってきます。食事療法と運動療法で現体重の3-5%程度の減量を達成し、維持することが重要です。 減量・減量維持の際には、有酸素運動によるエネルギー消費の増加が主目的となります。併せて筋力トレーニング、ストレッチングを行うと運動効果が高まります。
腰痛患者の「無症状」の時期と、症状が3カ月以上継続している「慢性腰痛」の時期における運動プログラムです。腰痛に関係する腹筋や背筋の筋力トレーニングや、腰痛に関係する筋肉のストレッチングが、症状改善や再発予防につながります。ただし、整形外科医の指導に従って、運動の方法や量を調整しましょう。
変形性ひざ関節症とは、年齢を重ねるにつれて「ひざの軟骨」がすり減り、痛みや腫れ、曲げ伸ばしの制限とともに「ひざの変形」が起こる病気です。 運動プログラムはひざを支える筋肉を鍛えて、ひざの安定性を高めるとともに、ひざの動きをよくする効果があります。
(最終更新日:2023年06月27日)