厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

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運動実施時における事故発生とその対策

安全に運動を行うためには、メディカルチェックで得られた結果を基に、身体状況や体力に応じた適切な運動プログラムを実践することが大切です。また運動前・運動中・運動後の注意点を理解し、運動時・運動後に起こりうる障害や事故についても知る必要があります。さらに万が一に備えて、日頃から緊急時の対応を確認しておくことが大切です。

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運動時・後の事故発生率

全国の健康運動指導士6,210名へアンケート調査を行ったところ、1,955名より有効回答を得ました。運動指導中・後に救急車や病院へ搬送事故を経験した健康運動指導士の割合は、実際に運動指導経験のある回答者1,617名中404名で25.0%でした。404名の半数は骨折や腱断裂、打撲などの経験でしたが、次いで意識消失やけいれん・気分が悪いなどの症状が多く、死亡事故を経験した健康運動指導士は3.4%で17名でした。内科的事故165件の内訳をみると、脳血管疾患心疾患の順に多く、動脈硬化性疾患でおよそ半数を占めていました。次いで、てんかん発作、糖尿病による低血糖発作でした。
アンケートの未回答者すべてが事故に遭遇していないと仮定すると、6.5%の指導者が救急搬送を体験していると考えられます。運動指導中・後の事故は特殊なことではないと認識し、事故を起こさない対策・事故が起きた場合の対応を日頃より確認しておくことが必要です。

事故発生時の救急処置

事故が起きた時

  • 安全確保(傷病者・救助者)の後、傷病者の状態を確認します。
  • 意識や呼吸がない、または受け答えがないなど → 迷わず119番に連絡します。
  • 急な関節の痛みに対しては、すぐに冷やすなど、適切な処置を行います。

緊急時には周囲の方を集めて分担して協力しましょう。またAEDの使用方法研修等、機会があれば受講することが救助の自信につながるでしょう。

事故発生時の対応マニュアル

各運動施設に緊急対応時のマニュアルが作成されていますが、財団法人日本健康スポーツ連盟・NPO法人日本健康運動指導士会のご協力の下、下記の研究事業により、運動指導時のマニュアルを作成しました。2009年に、健康運動指導士の方や、健康増進施設等に配布させていただきました。
マニュアルには、緊急対応時のフローチャート・日常の安全管理・事故発生時の対応・救急対応記録表・心肺蘇生・AEDの手順が記載されていますので是非参考にしてください。

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)地域・職域における生活習慣病予防・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究(主任研究者 津下一代)によりアンケートを作成しマニュアルを作成。

(最終更新日:2019年6月4日)