厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

e-ヘルスネット

ストレッチングの実際

ストレッチングを実施する際に注意すべき原則は5つあります。「1. 時間は最低20秒」「2. 伸ばす筋や部位を意識する」「3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす」「4. 呼吸を止めないように意識する」「5. 目的に応じて部位を選択する」ということです。

twitterでシェアする

facebookでシェアする

ストレッチングは実施方法によって4つに分類することが出来ます。関節の動きの有無により静的(スタティック)か動的(ダイナミック)かに分かれ、一人(セルフ)で行うか二人組(パートナー)で行うかによっても分かれます。柔軟体操とかつては言っていましたが、その概念と大きく違いはありません。また、最近人気が高いヨガピラティスもストレッチングの範疇に入ります。

健康づくりの現場では安全第一で、傷害のリスクが少ないスタティックストレッチングが用いられることが多いようです。柔軟性の向上の効果に関してはスタティックストレッチングがダイナミックストレッチングに劣ることはないことがわかっています。パートナーストレッチングは補助者に高い技術を求められることが少なくないため、安全に実施するという観点からセルフスタティックストレッチングが勧められます。

スタティックストレッチングの実施する際に注意しなければならない原則が下記のように5つあります。

  1. 時間を20秒以上かけて伸ばすこと[1]
    最初の5-10秒程度は適度な伸展度合いに定めるための「ムダな時間」だからです。
  2. 伸ばす部位を意識すること。
  3. 痛くなく気持ちよい程度に伸ばすこと。
    痛いほど伸ばすと伸張反射が働き、かえって筋が硬直するので効果が低下します。
  4. 呼吸を止めないこと。
    腹部を圧迫するような種目では呼吸が止まりがちでそのために血圧の上昇が起こる場合がありますし、ゆっくりと深い呼吸は緊張を和らげる効果があるからです。
  5. 部位を適切に選択すること。
    全身のストレッチングをくまなく行うためには何時間も必要です。目的に応じて適切な種目や部位を選ばないと非効率だからです。

ストレッチングは広い場所や道具を必要とすることなく行えることから、愛好者が増えている運動のひとつです。ストレッチングは強度が低く動きが少ないため安全な運動ですが、一方で誰でも簡単に行える運動であると誤解されている面があります。正しい方法で実施しなければ効果も十分に期待することができません。上記5つの原則を遵守して正しいストレッチングの実施に努めることが肝要です。また健康づくりの運動として単独で行うというより、有酸素性運動や筋トレなどと併せて実施するとより良い効果が期待できるでしょう。

独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進研究部長 運動ガイドライン研究室長(併任) 宮地 元彦

参考文献

  1. Bandy WD, Irion JM, Briggler M.
    The effect of time and frequency of static stretching on flexibility of the hamstring muscles.
    Phys Ther 1997; 77: 1090-6.