厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

e-ヘルスネット

特定健康診査・特定保健指導

特定健康診査(特定健診)・特定保健指導は、40歳~74歳の被用者保険(健康保険組合や全国健康保険協会など)や国民健康保険の加入者を対象として実施されている、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診および保健指導です。2024(令和6)年度から、第4期が開始しています。

twitterでシェアする

facebookでシェアする

特定健康診査・特定保健指導とは

わが国では従来、医療保険各法に基づき医療保険者が行う一般健診、労働安全衛生法に基づき事業者が行う健診、老人保健法に基づき市町村が行う基本健康診査が実施されてきました。しかし、生活習慣病が増えていくなかで、「生活習慣病予備群の確実な抽出と保健指導の徹底」「科学的根拠に基づく健診・保健指導の徹底」「健診・保健指導の質の更なる向上」等が必要であるとされ[1]、2005(平成17)年以降、新たな健診・保健指導の検討が行われました。

そこで、2008(平成20)年4月から「高齢者の医療の確保に関する法律」(以降、「高確法」)に基づき新たに導入されたのが、「特定健康診査・特定保健指導」です。

健診・保健指導と特定健診・特定保健指導の関係[2]より作成

健診・保健指導と特定健診・特定保健指導の関係
特定健康診査(特定健診)

特定健康診査は、医療保険者(健康保険組合や全国健康保険協会などの各被用者および国民健康保険)が実施主体となり、40~74歳の加入者(被保険者・被扶養者)を対象として行われる健診です。腹囲の計測など、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の該当者や、その予備群を発見することを目的とした検査項目が導入されています。詳細は、特定健康診査の検査項目を参照してください。

特定保健指導

特定保健指導は、特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による効果が多く期待できると判定された人に対して行われる健康支援です。対象者は、健診結果に応じて「積極的支援」、「動機付け支援」、「情報提供」の3つに区分されます。一人ひとりの身体状況や生活環境などに合わせて、医師・保健師・管理栄養士などの専門家が、生活習慣を見直すためのサポートを行います。詳細は、特定保健指導の実際を参照してください。

特定健康診査・特定保健指導の改訂

特定健診・特定保健指導は、高確法第19条に基づき「特定健康診査等実施計画」を定めることとされており、計画期間は第1期(2008[平成20]年度~2012[平成24]年度)、第2期(2013[平成25]年度~2017[平成29]年度)は5年ごと、第3期(2018[平成30]年度~2023[令和5]年度)以降は6年ごとと定められています。2024(令和6)年度からは第4期が開始しており、計画期間は2029(令和11)年度までとなっています[3]

第2期~第4期のスタート時にはそれぞれ、「標準的な健診・保健指導プログラム」の改訂が行われました。第2期では、健診や保健指導の場において、喫煙とアルコールに関する保健指導の強化が図られました。第3期では、糖尿病性腎症などの慢性腎臓病(CKD)対策として詳細な健診項目に「血清クレアチニン検査」が、歯科口腔保健の取り組みの足がかりとして質問票に「食事をかんで食べる時の状態」が追加されるなどの見直しが行われました。

第3期までの実施結果をふまえた、第4期の主な改訂点は以下のとおりです。

特定健康診査の改訂点[4][5]
  1. 基本的な健診の項目……血中脂質検査における中性脂肪において、やむを得ず空腹時以外で中性脂肪を測定する場合は、随時中性脂肪による血中脂質検査が可となりました。
  2. 標準的な質問票……喫煙や飲酒にかかわる質問項目については、より正確にリスクを把握できるような詳細な選択肢に修正しました(生涯非喫煙者と以前喫煙をしていた禁煙者の区別、生涯非飲酒者と以前飲酒をしていた禁酒者の区別、大量飲酒を含む項目の追加)。また、特定保健指導の受診歴を確認する質問項目に修正しました。
特定保健指導の改訂点[4][5]
  1. 評価体系の見直し……成果を重視した評価体系として、特定保健指導(積極的支援)の実績評価にアウトカム評価を導入しました。腹囲2cm・体重2kg減が達成された場合は、保健指導の介入量を問わない仕組みとなりました。腹囲2cm・体重2kg減が達成できない場合も、生活習慣病予防につながる行動変容(食習慣の改善、運動習慣の改善、喫煙習慣の改善、休養習慣の改善、その他の生活習慣の改善)や腹囲1cm・体重1kg減について成果として評価することとしました。
    プロセス評価は、介入方法により個別支援(ICT含む)、グループ支援(ICT含む)、電話、電子メール等とし、時間に比例したポイント設定ではなく、介入1回ごとの評価としました。支援Aと支援Bの区別は廃止しました。
    また、ICTを活用した場合も同水準の評価としました。
    特定健康診査実施後の特定保健指導の早期実施を新たに評価することとしました。第3期に行われていた、支援の投入量(ポイント)ではなく、腹囲・体重の改善状況で評価するモデル実施は廃止しました。
  2. 特定保健指導の初回面接の分割実施の条件緩和……特定保健指導の初回面接は、特定健康診査実施日から1週間以内であれば初回面接の分割実施として取り扱えるよう条件を緩和することとしました。
  3. 糖尿病等の生活習慣病にかかわる服薬を開始した場合の実施率の考え方……特定健康診査実施後または特定保健指導開始後に服薬を開始した人については、実施率の計算において、特定保健指導の対象者として、分母に含めないことを可能としました。
  4. 糖尿病等の生活習慣病にかかわる服薬中の人に対する服薬状況の確認及び特定保健指導対象者からの除外……服薬中の人の特定保健指導対象者からの除外に当たって、確認する医薬品の種類、確認の手順等を保険者があらかじめ定めている場合は、専門職以外であっても、対象者本人への事実関係の再確認と同意の取得を行えることとしました。
  5. その他の運用の改善……看護師が特定保健指導を行える暫定期間を第4期期間においても延長することとしました。

(最終更新日:2024年9月25日)

中山 健夫

中山 健夫 なかやま たけお

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授

1987年東京医科歯科大学医学部卒。国立がんセンター研究所がん情報研究部室長などを経て、2000年より京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻助教授、2006年より同教授(健康情報学)、2016~2019年同専攻長・医学研究科副研究科長。2018~19年度厚生労働科学研究「地域医療基盤開発推進研究事業・診療ガイドラインの今後の整備の方向性についての研究(指定課題)」代表研究者、厚生労働省費用対効果評価専門組織委員。

参考文献

  1. 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会.「今後の生活習慣病対策の推進について(中間とりまとめ)」について.2005年.
    https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/09/s0915-8.html
  2. 厚生労働省.特定健診・特定保健指導について.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161103.html
  3. 厚生労働省.特定健康診査等実施計画作成の手引き(第4版).2023年.
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001081779.pdf
  4. 厚生労働省.標準的な健診・保健指導プログラム【令和6年度版】.2024年.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html
  5. 厚生労働省.特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.1版).2024年.
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001248033.pdf
  6. 厚生労働省.第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_129197_00001.html