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食物繊維の必要性と健康

食物繊維は消化されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。現在ではほとんどの日本人が不足気味の成分ですので、積極的に摂取することが勧められます。

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食物繊維というと「繊維」という言葉から、細い糸のようなスジ状のものをイメージされがちです。しかしネバネバするものから、水に溶けてサラサラした状態になるものものまで、多くの種類があります。特定保健用食品で「おなかの調子を整える食品」として認められている成分の多くが食物繊維です。
食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。言い換えると、たんぱく質脂質炭水化物などは、消化管の中で消化液の中の酵素によって分解(消化)され、小腸から体の中に吸収されていきますが、食物繊維はこの消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して、大腸まで達する成分です。水に溶けないセルロースやリグニン、水に溶けるペクチンやアルギン酸などの成分があります。さらに消化されにくい性質を持ったデンプン・デキストリン・オリゴ糖などの成分も含まれます。便の体積を増やす材料となるとともに、大腸内の腸内細菌に利用され、便秘予防や腸の働きを正常にするだけでなく、体にとって有益な生理機能を持つことが明らかとなっています。

日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年代では一人あたり一日20gを超えていましたが、戦後の食生活の欧米化やライフスタイルの変化に伴い、年々低下しつつあるのが現状です。最近の報告によれば平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。
厚生労働省策定の食事摂取基準[2005年版]によれば、1日あたりの目安量は、30~49歳では男性26g、女性20g、50~69歳では男性24g、女性19gとなっています。エネルギー摂取量とあわせて考え、おおよそ1000kcalに対して10gの食物繊維を取ることが望ましいとされています。
体のサインから見た食物繊維の必要量は「一日に一回、規則的に排便がある」ことがひとつの目安になります。この状態である人の排便量は一日に約150g(Mサイズの鶏卵に換算すると約3個分)であることがわかっています。つまりこの便を作り出すための食物繊維を食事から取ることが必要です。

食物繊維は、魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれていません。豆類・野菜類・果実類・きのこ類・藻類などに多く含まれています。特にそば・ライ麦パン・しらたき・さつまいも・切り干し大根・かぼちゃ・ごぼう・たけのこ・ブロッコリー・モロヘイヤ・糸引き納豆・いんげん豆・あずき・おから・しいたけ・ひじきなどは、(1食あたり)普通に食べる量の中に食物繊維が2~3gも含まれています。効率的に食物繊維を摂るには、これらの食材を毎日の食事の中にうまく取り入れると良いでしょう。

食物繊維は多くの腸疾患や代謝性疾患に対して、予防効果のあることが認められています。便の量を増加させ、腸内のビフィズス菌乳酸菌の割合を増やすことによって便秘を改善し、腸内における発癌物質の生成を抑えます。欧米において一日あたり24g以上の摂取で、心筋梗塞のリスク低下が観察されるとの研究報告もあります。また体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排泄を促進し、血中コレステロール値を下げます。さらに食後の血糖値の急激な上昇を抑える作用もあります。

食物繊維は現在、多くの日本人が不足気味ですので積極的に摂取することが勧められる食品成分です。

参考文献

  1. 印南敏, 桐山修八 編
    改訂新版 食物繊維
    第一出版, 1995.
  2. 厚生労働省策定
    日本人の食事摂取基準[2005年版]
    第一出版, 2005.