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活動量の評価法

比較的大規模な集団の活動量を評価する場合には、質問紙法や活動記録法が用いられることが一般的ですが、得られた結果の妥当性や再現性は対象者の年齢や活動特性に依存します。一方で加速度計は入浴などを除き、基本的には機器の装着のみで活動量を測定できるため、幅広い対象者に用いることが可能です。

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活動量の評価法は多岐にわたっており、各評価法により出力される活動量の単位も熱エネルギー(kcal)・時間・頻度・スコア(任意の単位)と多様です。各評価法の用途はその目的に応じますが、比較的大規模な集団の活動量を評価する場合には質問紙法や活動記録法を用いることが一般的です。
特に身体活動量評価の国際標準化をねらいとしたInternational Physical Activity Questionnaire(IPAQ:通称アイパック)は、汎用性が高い質問紙法のひとつです。一方で活動記録法では、対象者が1~15分単位の目盛が記載された所定記録用紙に活動内容を直接記入したり、あるいは代表的な活動内容を選択したりするなどその形式はさまざまです。この評価法の特徴として各活動時のおよそのエネルギー消費量を次式により簡単に計算することが可能です。

エネルギー消費量(kcal) = 1.05 × エクササイズ(メッツ・時)× 体重

例えば体重60kgの男性が1時間の歩行(3メッツ)を行った場合のエネルギー消費量は、189kcal(1.05×3メッツ・時×60g)となります。なおメッツ(METs)とは活動強度を表す単位で、国際的にも広く使用されています。活動記録法は簡便性が高く、質問紙法と比較しても優れた推定精度を有していることから疫学的な調査にも頻繁に用いられますが、いくつかの問題点を有しています。
まずひとつ目に、この評価法を適用できる対象年齢に制限があることです。例えば幼児や児童では活動内容に関する必要な情報を正確に記述することは困難であり、成人と同程度の評価精度を獲得することは難しいと思われます。
またスポーツ選手用にスポーツ活動中の状況を詳細に記録することも容易ではありません。このような場合、詳細な記述が面倒なために本来の活動そのものに変容をきたす可能性も考えられます。すなわち活動記録により得られた結果の妥当性や再現性は対象者に依存するということです。したがって、活動記録法を用いる場合は、対象者の年齢や活動特性を考慮した上で使用することが重要になります。

一方で歩数計や加速度計を用いて活動量を評価する場合、入浴など特別な活動を除き、基本的には機器の装着のみで活動量を測定することが可能です。したがって対象者には活動に変容をきたすような負担を強いることはありません。このような利点もあり、厚生労働省の国民健康・栄養調査では、「歩数」が活動量の指標として用いられてきました。

歩数計自体も非常に安価となり、厚生労働省が掲げる1日10000歩の目標値は国民の間にも広く浸透してきました。近年では、圧電素子を応用した加速度センサー内蔵型の歩数計の開発が進んでいます。この機器の特徴として、ヒトが活動する際に生じる前後・左右・上下方向の衝撃(加速度)の大きさやその出現頻度から歩数だけでなくエネルギー消費量や活動強度(メッツ)を推定することができます。

平成18年(2006年)に厚生労働省が生活習慣病の予防には3メッツ以上で23メッツ・時/週の活動量が必要であるという「健康づくりのための運動基準2006」を提案したことにより、加速度計による活動量の評価には今後ますます大きな期待が寄せられると考えられます。特にこの基準では、日常生活の中には掃除機やモップがけ・庭仕事など歩行以外にも3メッツ以上の活動が多様に存在していることを明示しており、歩行だけでなく日常生活活動量を評価できる加速度計の開発が求められます。そして現在では数多くの研究者がそれを正確に評価するための加速度計のアルゴリズムを検討しています。

参考文献

  1. Montoye, H.J., Kemper, H.C.G., Saris, W.H.M. and Richard A.W.
    Measuring physical activity and energy expenditure, Human Kinetics, Champaign, IL,
    1996.
  2. 運動所要量・運動指針の策定検討会
    健康づくりのための運動基準2006~生活習慣病予防のために~
    http://www.nih.go.jp/eiken/programs/pdf/guidelines2006.pdf