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経動脈的血行再建療法(けいどうみゃくてきけっこうさいけんりょうほう)

脳梗塞の血栓を直接除去する治療。
柔らかい細い管(カテーテル)を血管の中に挿入して操作し、詰まった脳血管を再開通させる。

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脳にある血管が詰まって起こる脳梗塞を、カテーテルを用いて再び血液が流れるようにする治療を、経動脈的血行再建療法といいます。

日本では脳梗塞治療に使うカテーテルが、2010年に初めて薬事承認され、それ以来新たな機器が次々と開発されて承認されています。この治療では、大きく分けて2種類のカテーテル(ステント型と吸引型)が使用されますが、いずれも特に脳の前半分(内頚動脈または中大脳動脈M1部)の脳梗塞に対して有効であることが示されています[1]

治療の効果を得るためには、発症してすぐに治療を始めることが大切です。発症から6時間以内に治療ができれば、後遺症が残る確率を軽減できます[1]。実際には、時間だけでなく画像検査の結果などを組み合わせて治療を行うか決定します。

発症から時間が経つと脳細胞が死んでしまい、治療の効果が得られません。また、治療中に弱った血管が強く傷んだ場合や血液が再び流れ出したのをきっかけに新たに脳出血を起こす危険があり、注意が必要です。治療は、設備の整った医療機関で専門の医師によって行われます。

実際の治療では、薬剤を用いた経静脈的線溶療法と併用して行われることがあります。

(最終更新日:2023年04月26日)

有屋田 健一

有屋田 健一 ありやだ けんいち

筑波大学大学院人間総合科学学術院 社会健康医学

2014年広島大学医学部医学科卒業。日本脳神経外科学会専門医。日本脳卒中学会専門医。

参考文献

  1. 日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会.脳卒中治療ガイドライン2021.東京:協和企画,2021.