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健康高齢者の口腔ケア

自分の歯や口・体の健康に関心をもち、生活習慣を整えることは健康高齢者への近道です。歯ブラシなどの道具を使った器質的口腔ケアだけではなく、顔や舌の体操・唾液腺のマッサージなど、機能的口腔ケアも実施して歯や口の健康を維持しましょう。また定期的に歯科医院に行って、健診や指導を受けることをお勧めします。その結果が健康的で質の高い生活の実現につながるといえます。

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健康高齢者とは

健康高齢者とは、いきいきと元気に自立して暮らす人と定義します。元気な方たちは、歯や口の健康にも関心をもち、望ましい生活・清潔の習慣が身についています。都内で行われた老人大学出席者(60~90歳代 自主参加の講演会 回答者の平均年齢75.7±6.0歳)対象の調査結果より、自立した高齢者の多くは、食後に歯を磨き、早寝早起き、1日3食を規則正しく摂り、かかりつけ歯科医をもっていて、喫煙をしないことがわかりました[1]。つまり自分の歯や口・体の健康に対して関心をもって健康的な生活を送ることそのものが、自立して元気にいきいきと暮らすことに繋がると考えられます。高齢期に歯のケアを十分に行い、いろいろ食べられるよう口の健康の維持が重要であることから、「健康長寿のための12か条」のひとつに「口の健康」が挙げられています[2]

口腔ケア

口腔ケアというと歯磨きだけが思い浮かぶかもしれませんが、そうではありません。また高齢者独自の口腔ケア法があるわけではなく、歯や口の状態に合った方法や道具を選ぶことが肝心です。

口腔ケアには、歯ブラシ・歯間ブラシ・デンタルフロス(以下、フロス)・歯磨剤などを使って歯や口を清潔かつ健康に保つための器質的口腔ケアと、唾液の分泌を促したり舌・口唇・頬などの機能を賦活するための機能的口腔ケアがあります。

1. 器質的口腔ケア

毎日、食後や就寝前に歯や口・舌の清掃を行います。むし歯の予防はフッ素入り歯磨剤の効果的な使用、歯周病予防はプラークの除去が基本です。ブリッジ・部分入れ歯・総入れ歯が入っている方はそれぞれに応じた清掃方法と配慮が必要です。

状態 器質的ケア
自分の歯がある人 歯磨き:歯ブラシ
歯と歯の間:歯間ブラシ・糸ようじ・フロスなど
その他:フッ素入り歯磨剤の使用
部分入れ歯を使っている人 歯磨き:歯ブラシ
歯と歯の間:歯間ブラシ・糸ようじ・フロスなど
その他:フッ素入り歯磨剤の使用
入れ歯の清掃:義歯用ブラシ(機械的清掃)+義歯洗浄剤(化学的清掃)
総入れ歯の人 入れ歯の清掃:義歯用ブラシ(機械的清掃)+義歯洗浄剤(化学的清掃)
下と粘膜ケア:舌ブラシ・粘膜用ブラシ
ブリッジの清掃

ブリッジの下面は、歯間ブラシや太めのフロスなどで清掃します。

部分入れ歯の清掃

部分入れ歯の歯にかける金属のバネは、義歯用ブラシの固い方を使って丁寧に清掃します。

人工歯の清掃

人工歯で隣に歯がない場所は、歯ブラシを横から入れて磨いてください。

総入れ歯の清掃

総入れ歯は義歯用ブラシで全体を清掃します。その際に落とさないように注意してください。
またブラシではとれない汚れを落とすため、義歯洗浄剤を併用することをおすすめします。

2. 機能的口腔ケア

歯や舌、頬など口の機能を維持するために、健口体操[3][4]を行いましょう。

顔面体操
しっかり目をつぶり、唇を横に引いて頬をあげます。その後、口と目を思い切りあけてください。もういちど口をしっかり閉じてから、頬を膨らませて、口を左右に動かします。
舌体操
口を開けて行うものと閉じて行うものがあります。口を開けて、舌を思いっきり出したり引っ込めたり左右に動かし、口の周りをなめるように回します。上下に舌を動かす運動もよいでしょう。口を閉じて行う舌体操は、舌で上・下唇を内側から押したり、頬を押したりします。舌の働きがよくなって唾液も出やすくなり、発音がよくなります。
唾液腺マッサージ
頬・顎の下をマッサージします。

まとめ

定期的に歯科医院に行って、歯科医師による歯科健診や歯科衛生士による歯石除去や歯磨き指導を受けたり、毎日のセルフケアによって歯や口の機能を維持・促進することで、いきいきと健康で質の高い生活をエンジョイしてください。

(最終更新日:2020年1月6日)

田野 ルミ

田野 ルミ たの るみ

国立保健医療科学院 生涯健康研究部 主任研究官

1995年埼玉県立衛生短期大学歯科衛生学科卒業。埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科口腔保健科学専攻助手、同助教、同講師を経て、2018年より現職。歯科口腔保健および禁煙支援に関わる研究、人材育成に努めている。

参考文献

  1. 遠藤圭子, 白田千代子, 近藤圭子,他.
    自立高齢者の口腔保健行動に関する調査
    口腔衛生学会雑誌. 53(4), 379:2003.
  2. 東京都健康長寿医療センター研究所 健康長寿新ガイドライン策定委員会 編・著
    健康長寿新ガイドライン エビデンスブック.
    2018.
  3. 北原稔, 白田チヨ.
    健口体操1・2・3 口からはじまる介護予防.
    一世出版.
  4. かながわ健口(けんこう)体操(神奈川県ホームページ)
    http://www.pref.kanagawa.jp/docs/cz6/cnt/s001/kenkoutaisou.html