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健康高齢者の口腔ケア

自分の歯や口・体の健康に関心をもち、生活習慣を整えることは健康高齢者への近道です。歯ブラシなどの道具を使った器質的口腔ケアだけではなく、顔や舌の体操・唾液腺のマッサージなど、機能的口腔ケアも実施して歯や口の健康を維持しましょう。また定期的に歯科医院に行って、健診や指導を受けることをお勧めします。その結果が健康的で質の高い生活の実現につながるといえます。

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健康高齢者とは

健康高齢者とは、いきいきと元気に自立して暮らす人と定義します。元気な方たちは、歯や口の健康にも関心をもち、望ましい生活・清潔の習慣が身についています。

かつて都内で行われた老人大学出席者(60歳代~90歳代 自主参加の講演会 回答者の平均年齢75.7±6.0歳)対象の調査を行いました。平均年齢が高いこともあり、通院中の方(57.9%)や毎日薬を飲んでいる方(72.5%)もいましたが、会場では講演を聴き、顔や口の体操をしていました。食後に歯を磨く人が多く、早寝早起き、1日3食を規則正しく摂り、酒は飲まない(71.0%)、喫煙しない(約95%)、かかりつけ歯科医をもっている(85.1%)など、元気高齢者12か条と一致する回答が得られました。つまり自分の歯や口・体の健康に対して関心をもって健康的な生活をおくることそのものが、自立して元気に生き生きと暮らすことに繋がるということに他ならないと考えられます。

口腔ケア

口腔ケアというと歯磨きだけが思い浮かぶかもしれませんが、そうではありません。また高齢者独自の口腔ケア法があるわけではなく、歯や口の状態に合った方法や道具を選ぶことが肝心です。

口腔ケアには、歯ブラシ・歯間ブラシ・デンタルフロス・歯磨剤などを使って歯や口を清潔かつ健康に保つための器質的口腔ケアと、唾液の分泌を促したり舌・口唇・頬などの機能を賦活するための機能的口腔ケアがあります。

1. 器質的口腔ケア

毎日、食後や就寝前の歯や口・舌の清掃を行います。歯周病を予防するためには、1日1回徹底的に清掃すればよいかもしれませんが、エチケットの意味もあるので、必要に応じて行うことをお勧めします。ブリッジ・部分入れ歯・総義歯が入っている方はそれぞれに応じた方法と配慮が必要です。

状態 器質的ケア
自分の歯がある人 歯磨き:歯ブラシ
歯と歯の間:歯間ブラシ・糸ようじ・フロスなど
その他:フッ素入り歯磨剤の使用
部分入れ歯を使っている人 歯磨き:歯ブラシ
歯と歯の間:歯間ブラシ・糸ようじ・フロスなど
その他:フッ素入り歯磨剤の使用
入れ歯の清掃:義歯用ブラシ(機械的清掃)+義歯洗浄剤(化学的清掃)
総入れ歯の人 入れ歯の清掃
義歯用ブラシ+義歯洗浄剤
舌と粘膜ケア:舌ブラシ・粘膜用ブラシ
ブリッジの清掃

ブリッジの下面は、歯間ブラシや太めのフロスなどで清掃します。

部分入れ歯の清掃

部分入れ歯の歯にかける金属のバネは、義歯用ブラシの固い方を使って丁寧に清掃します。

人工歯の清掃

人工歯で隣に歯がない場所は、歯ブラシを横から入れて磨いてください。

総入れ歯の清掃

総入れ歯は義歯用ブラシで全体を清掃します。その際に落とさないように注意してください。
またブラシではとれない汚れを落とすため、義歯洗浄剤を併用することをおすすめします。

2. 機能的口腔ケア

歯や舌、頬など口の機能を維持するために、健口体操(北原・白田先生考案)[2]を行いましょう。

顔面体操
しっかり目をつぶり、唇を横に引いて頬をあげます。その後、口と目を思い切りあけてください。もういちど口をしっかり閉じてから、頬を膨らませて、口を左右に動かします。
舌体操
口を開けて行うものと閉じて行うものがあります。口を開けて、舌を思いっきり出したり引っ込めたり左右に動かし、口の周りをなめるように回します。上下に舌を動かす運動もよいでしょう。口を閉じて行う舌体操は、舌で上・下唇を内側から押したり、頬を押したりします。舌の働きがよくなって唾液も出やすくなり、発音がよくなります。
唾液腺マッサージ
頬・顎の下をマッサージします。

まとめ

定期的に歯科医院に行って、歯科医師による歯科健診や歯科衛生士による歯石除去や歯のクリーニング・歯磨き指導を受けたり、毎日のセルフケアによって歯や口の機能を維持・促進することで、いきいきと健康で質の高い生活をエンジョイしてください。

東京医科歯科大学 歯学部口腔保健学科 遠藤 圭子

参考文献

  1. 遠藤圭子, 川口陽子他
    自立高齢者の口腔保健行動および清掃習慣に関する調査
    昼食後の歯磨きに関する研究報告書より, 2003.
  2. 北原稔, 白田チヨ
    健口体操1・2・3
    口からはじまる介護予防, 一世出版.