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要介護高齢者の口腔ケア

口腔ケアには大きく分けて口腔の「清掃を中心とするケア」と「機能訓練を中心とするケア」があります。要介護高齢者に対する口腔ケアの主な目的は「誤嚥性肺炎」「口腔の乾燥」「口腔機能の低下」を予防することです。安全と安楽をモットーに専門家のアドバイスを受けながら、継続することがポイントです。

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口腔ケアについて

高齢社会になるとともに介護が必要な高齢者が増加し「口腔ケア」という用語が生まれ、今では保健・医療・福祉の分野に広く浸透しています。口腔ケアには口腔の「清掃を中心とするケア」と「機能訓練を中心とするケア」があります。目的はそれぞれ「口腔内を清潔に保つこと」と「口腔機能を維持・向上すること」です。要介護高齢者の口腔ケアでは、誤嚥性肺炎や口腔内の乾燥を予防すること、さらには老化や障害による口腔機能の低下を予防・改善することが主眼となります。

口腔ケアを始める前に

口腔内は非常にデリケートです。したがって口腔ケアを介護者が始める前には、本人に口腔ケアについて十分説明し、お互いの意思疎通をはかることが重要です。特に認知機能が低下している高齢者に対しては、無理をせず先ずは「気持ちよさ」と体感してもらうことから始めてください。嫌がるからといってケアをしないと、悪循環に陥る可能性があるので、困った時は歯科医師・歯科衛生士に相談して下さい。

口腔ケアのポイント

1. 口腔内をチェックする

要介護の状態が長期間続くと、口腔内が放置されているケースも多いので、口腔内に問題がないか観察します。痛みがあるとケアを避けるので、痛みの原因となる口内炎・欠けた歯・歯肉の脹れ・義歯による傷などの有無をチェックします。問題があれば歯科医師や歯科衛生士に相談して下さい。

2. 介助は最小限にとどめる

障害の程度によってどの部分を介助すべきかを考えます。筋肉の衰えの予防や麻痺の改善のためには、自助具や工夫した清掃具を活用しながら、できるだけ本人の残っている能力を活かすことが重要です。ただし仕上げは介護者が手伝いましょう。

3. 誤嚥に注意する

寝たきり状態で嚥下機能が低下している場合は、顔を横に向け、枕を使って下あごを引き、水分が気管に入らないように注意します。水分の使用はできるだけ控え、すぐにふき取れるよう綿棒やカット綿等を用意します。麻痺があれば、麻痺した側を上に健常な側を下にします。

唾液腺マッサージ

唾液腺マッサージ

加齢により分泌能力が低下したり、服用薬の影響で口が乾きやすくなります。マッサージをして唾液の分泌を促しましょう。

耳下腺への刺激

a. 耳下腺への刺激

人差し指から小指までの4本の指を頬にあて、上の奥歯あたりを後ろから前へ向かって回す。(10回)

顎下腺への刺激

b. 顎下腺への刺激

親指を顎の骨の内側の柔らかい部分にあて、耳の下から顎の下まで5ヶ所くらいを順番に押す。(各5回ずつ)

舌下腺への刺激

c. 舌下腺への刺激

両手の親指をそろえ、顎の真下から(各5回ずつ)手を突き上げるようにグーッと押す。(10回)

4. 口腔内の乾燥に注意する

口から食べることができない、あるいは服用薬に副作用があると、唾液の分泌量が減少して口腔内が乾燥します。その結果唾液の抗菌作用や洗浄作用が低下し、口腔内が不潔となり感染しやすくなります。そこで唾液の分泌を促進するために、口腔機能訓練(舌体操・嚥下体操)やマッサ-ジ(唾液腺・口腔粘膜)などさまざまなメニューを組み合わせた口腔ケアが必要になります。

5. 便利なケア用品を活用する

口腔清掃の補助具

本人の負担をできるだけ軽減するために、短時間で効率よく行うことがポイントです。そのためには歯ブラシの他に便利な清掃補助具(スポンジブラシ・歯間ブラシ・舌ブラシなど)をうまく活用して下さい。

東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 寺岡 加代

参考文献

  1. 厚生労働省
    口腔機能の向上マニュアル
    http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/tp0501-1.html
  2. 寺岡加代
    口腔ケア
    口と歯の事典, 高戸毅, 天笠光雄, 葛西一貴, 古郷幹彦, 須佐美隆史, 鈴木茂彦, 谷口尚, 新美成二 編, 朝倉書店, 東京, 2008. p.357-375