長年たばこを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。また禁煙は病気の有無を問わず健康改善効果が期待できるので、病気を持った方が禁煙することも大切です。つまり、病気の予防だけでなく、すでに病気を持った方においてもまず取り組むべき課題です。
長年たばこを吸っていても、禁煙するのに遅すぎることはありません。1990年に出版されたアメリカの公衆衛生長官の報告書は、これまでの世界各国の研究をまとめ、「禁煙は性別・年齢・喫煙による病気の有無を問わず、すべての人々に大きくかつ迅速な健康改善をもたらす」と報告しています[1]。
もちろん禁煙による健康改善は若年で禁煙するほど効果がありますが、何歳であっても遅すぎることはありません。45歳まで、とりわけ35歳までに禁煙すれば、総死亡リスクがもともと喫煙しなかった人と同様のレベルまで改善することがわかっています[2]。
また、禁煙は病気の有無を問わず、健康改善効果が期待できるので、病気を持った方が禁煙することも大切です。つまり、病気の予防だけでなく、「健康日本21(第二次)」から重視されている項目である重症化予防(二次予防)においてもまず取り組むべき課題となっています。
禁煙すると24時間で心臓発作のリスクの低下がみられますが、その後比較的早期にみられる健康改善には、せきやたんなどの呼吸器症状の改善やインフルエンザなど呼吸器感染症にかかる危険が低下することがあげられます(図[3][4])。禁煙後早ければ1ヵ月たつと、せきや喘鳴(ぜんめい)などの呼吸器症状が改善します。また、免疫機能が回復して、かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなります。
さらに禁煙後1年たつと肺機能が改善し、禁煙2~4年後には虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約1/3減少します。肺がんのリスクが低下するのは禁煙5年後以降と少し時間がかかりますが、禁煙して10~15年経てば、様々な病気にかかる危険が非喫煙者のレベルまで近づくことがわかっています。
そのほか、禁煙すると顔色や胃の調子が良くなったり目覚めがさわやかになるなど、日常生活の中で実感できる色々な効果があります。禁煙すると家族から喜ばれたり、何事にも自信がついたりすることも禁煙に成功された方々の体験からわかっています。
また、ニコチン切れで「イライラ」したり、家族から毎日のように「たばこ臭い」「煙たいからベランダで吸って」などと非難されるストレスがなくなって「禁煙したら家庭内がなごやかになった」と話す禁煙成功者もいます。
(最終更新日:2024年03月18日)