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健康行動理論を活用するためのポイント

健康行動理論とは、人が健康によい行動を行う可能性を高める要因として、どのようなものがあるかを示す考え方をいいます。健康行動理論を活用して、健康によい行動を行う可能性を高めるには、これらの要因を満たすような働きかけが必要になります。

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健康行動理論とは、人が健康によい行動を行う可能性を高める要因として、どのようなものがあるかを示す考え方をいいます。健康行動理論を活用して、健康によい行動を行う可能性を高めるには、これらの要因を満たすような働きかけが必要になります。健康信念モデルや社会的認知理論をはじめ、健康行動理論には多くの理論がありますが、代表的な理論から健康によい行動を行う可能性を高める要因をピックアップして以下に示します。(運動を例にして、各要因を満たすために必要なポイントと共に)

健康によい行動を行う可能性を高める要因

1. 「よい」
運動をすることが自分にとって本当に「よい」ことだと思うこと
→ そのために必要なこと:運動をすれば、自分が価値を置く結果につながると思うこと
2. 「自信」
運動をうまく行えるという「自信」があること
→ そのために必要なこと:「成功経験」と「代理経験」を活用して、運動への「自信」を高めること
(「セルフ・エフィカシー」の項を参照)
3. 「まずい」
このままでは「まずい」と思うこと
→ そのために必要なこと:健診の結果で異常を指摘されている場合は、このままの状態が続くと、健康面や経済面・社会面などでどんな影響があるかを考えること
4. 「妨げ」
運動をする上で「妨げ」が少ないこと
→ そのために必要なこと:運動することの「妨げ」になることがあれば、それをできるだけ減らすこと
5. 「ストレス」
「ストレス」とうまくつき合っていること
→ そのために必要なこと:「ストレス」になりそうなことでも前向きにとらえ、健康的な行動(例:運動)で対処すること
6. 「サポート」
運動をする上で周りから「サポート」が得られること
→ そのために必要なこと:運動をする上で「サポート」してくれそうな人を見つけ、サポートをお願いすること
7. 「努力」
→ そのために必要なこと:健康になれるかどうかは運だけで決まるのではなく、自分の「努力」によって左右されると思うこと

なお、健康によい行動を行う可能性を高めるには、これらの要因のうちその人においてまだ十分に満たされていないものがあれば、その要因を満たすように働きかけることが必要です。

(最終更新日:2021年4月21日)

松本 千明 まつもと ちあき

北海道立旭川高等看護学院 非常勤講師

1989年札幌医科大学医学部卒業、89年~91年札幌徳洲会病院勤務、91年~96年自治医科大学内分泌代謝科勤務、96年~99年徳田病院内科外来非常勤勤務、99年大阪府立看護大学医療技術短期大学部臨床栄養学科卒業、2001年ミシガン大学公衆衛生大学院健康行動健康教育学科修士課程修了、09年より現職。

参考文献

  1. 松本千明
    医療・保健スタッフのための 健康行動理論の基礎
    医歯薬出版, 2002.
  2. 松本千明
    医療・保健スタッフのための 健康行動理論 実践編
    医歯薬出版, 2002.
  3. 松本千明
    やる気を引き出す8つのポイント 行動変容をうながす保健指導・患者指導
    医歯薬出版, 2007.