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セルフ・エフィカシーを高めるポイント

セルフ・エフィカシーとは、ある行動をうまく行うことができるという「自信」のことをいいます。人がある行動へのセルフ・エフィカシーを強く感じていると、その行動を行う可能性が高まると考えられ、セルフ・エフィカシーを高める主なポイントとしては、「成功経験」と「代理経験」が挙げられます。

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セルフ・エフィカシーとは、ある行動をうまく行うことができるという「自信」のことをいい、日本語では自己効力感と呼ばれます。人がある行動へのセルフ・エフィカシーを強く感じていると、その行動を行う可能性が高くなり、その行動をするための努力を惜しまず、失敗や困難を伴っても諦めにくいと考えられます。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では、例えば、18歳から64歳の成人に対しては「元気にからだを動かしましょう。1日60分」を勧めていますが、そのような身体活動に対して高いセルフ・エフィカシーを感じている人ほど、身体活動を行う可能性が高くなるということです。
以下にセルフ・エフィカシーを高める主なポイントとして、「成功経験」と「代理経験」について、身体活動を例にして説明したいと思います。

1. 「成功経験」

成功経験とは、実際に自分が行ってみて、うまくできたという経験のことです。

この「成功経験」を使って、身体活動へのセルフ・エフィカシーを高めるには、少し頑張れば達成できそうな目標を立て、その目標をクリアすることが必要です。そして、その「成功経験」が運動への「自信」を高め、その後少しずつ目標を上げていくことも可能になります。上記の例で言えば、いきなり「1日60分以上の身体活動」を目標にするのではなく、達成できそうな目標を立ててクリアし、それから少しずつ目標を上げていくことでもよいのです。

2. 「代理経験」

代理経験とは、性や年齢、健康状態や生活状況などにおいて、自分と似ていると思われる「モデル」となる人が、ある行動をうまく行っているのを見たり聞いたりすることで、”自分にもうまくできそうだ”と思うことです。

この「代理経験」を使って、身体活動へのセルフ・エフィカシーを高めるには、実際に身体活動を行っていて、自分と似ていると思われる「モデル」となる人を見つけ、その人に身体活動を続けるコツや、身体活動によってどんなメリットが得られたかについて、聞いてみることが勧められます。そうすることで、”自分にもうまくできそうだ”という「自信」を感じやすくなるということです。

(最終更新日:2021年4月21日)

松本 千明 まつもと ちあき

北海道立旭川高等看護学院 非常勤講師

1989年札幌医科大学医学部卒業、89年~91年札幌徳洲会病院勤務、91年~96年自治医科大学内分泌代謝科勤務、96年~99年徳田病院内科外来非常勤勤務、99年大阪府立看護大学医療技術短期大学部臨床栄養学科卒業、2001年ミシガン大学公衆衛生大学院健康行動健康教育学科修士課程修了、09年より現職。

参考文献

  1. Bandura A.
    Self‐efficacy : the exercise of control.
    W.H. Freeman and Company, 1997.
  2. 坂野雄二, 前田基成
    セルフ・エフィカシーの臨床心理学.
    北大路書房, 2002.