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行動変容ステージモデル

行動変容ステージモデルでは、人が行動を変える場合は「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます。行動変容のステージをひとつでも先に進むには、その人が今どのステージにいるかを把握し、それぞれのステージに合わせた働きかけが必要になります。

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行動変容ステージモデルとは、1980年代前半に禁煙の研究から導かれたモデルですが、その後食事や運動をはじめ、いろいろな健康に関する行動について幅広く研究と実践が進められています。行動変容ステージモデルでは、人が行動(生活習慣)を変える場合は、以下の【図】のように「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます。

図: 行動変容ステージモデル

行動変容ステージモデル

行動変容のステージを一つでも先に進むには、その人が今どのステージにいるかを把握し、それぞれのステージに合わせた働きかけが必要になります。 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では、今より10分多く体を動かす「+10(プラステン)」を勧めています(歩数で言うと、およそ1日1,000歩の増加に相当)[1]。ある人がこの身体活動について5つのどのステージにいるかは、上図の「行動を変える」を「プラステンをする」に置き換えて判定することができます。

現在のステージからひとつでも先のステージに進むためのポイントについて、禁煙の研究から導かれたものを運動に当てはめて以下に示します。

1. 無関心期への働きかけ

意識の高揚
身体活動のメリットを知る
感情的経験
このままでは「まずい」と思う
環境の再評価
周りへの影響を考える

2. 関心期への働きかけ

自己の再評価
身体活動が不足している自分をネガティブに、身体活動を行っている自分をポジティブにイメージする

3. 準備期への働きかけ

自己の解放
身体活動をうまく行えるという自信を持ち、身体活動を始めることを周りの人に宣言する

4. 実行期と維持期への働きかけ

行動置換
不健康な行動を健康的な行動に置き換える(例:ストレスに対してお酒の代わりに身体活動で対処する)
援助関係
身体活動を続ける上で、周りからのサポートを活用する
強化マネジメント
身体活動を続けていることに対して「ほうび」を与える
刺激の統制
身体活動に取り組みやすい環境づくりをする

なお行動変容のプロセスは、常に「無関心期」から「維持期」に順調に進むとは限りません。いったん「実行期」や「維持期」に入ったのに、その後行動変容する前のステージに戻ってしまう「逆戻り」という現象も起こり得ます。

(最終更新日:2019年6月4日)

松本 千明 まつもと ちあき

北海道立旭川高等看護学院 非常勤講師

1989年札幌医科大学医学部卒業、89年~91年札幌徳洲会病院勤務、91年~96年自治医科大学内分泌代謝科勤務、96年~99年徳田病院内科外来非常勤勤務、99年大阪府立看護大学医療技術短期大学部臨床栄養学科卒業、2001年ミシガン大学公衆衛生大学院健康行動健康教育学科修士課程修了、09年より現職。

参考文献

  1. 厚生労働省.
    健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド).
    2013.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpr1.pdf
  2. Prochaska J.O., Velicer W.F.
    The transtheoretical model of health behavior change.
    American Journal of Health Promotion 12(1), p38‐48, 1997.
  3. Prochaska J.O., Redding C.A., Evers K.E.
    The transtheoretical model and stages of change.
    In K. Glanz, B.K. Rimer, K. Viswanath (eds.), Health behavior and health education : theory, research, and practice. (4th ed), Jossey‐Bass, p97‐121, 2008.